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ヒナギクのお茶の場合

ヒナギクのお茶の場合

ヒナギクのお茶の場合

作家
多和田葉子
出版社
新潮社
発売日
2000-03-01
ISBN
9784104361014
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ヒナギクのお茶の場合 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

4篇を収録。「枕木」と「雲を拾う女」の2篇は、シュールレアリスム小説の楽しみを満喫できるもの。しかも「枕木」では連想が自由に移ろうなど、一種「意識の流れ」風の展開を見せており円環を結ぶことなく消えていくところに現代的なものを感じる。一転して「ヒナギク…」はリアリズム系統に属するようでいて、これも一筋縄ではいかない。続く「日星の花…」は、人を食ったような「お噺」で、これも捨てがたい魅力だ。最後の「所有者…」は、異文化(この場合は空間的なものばかりではなく、時間的にも)理解(誤解)を楽しむものと実に盛り沢山。

2014/08/16

nico🐬波待ち中

多和田さんの自由な文体が相変わらず面白い。静かなトーンの話からクスッと笑える軽快な話、と多和田さんの引き出しの多さが伺える短編集。「枕から枕へ、今夜見る夢から明日の夜見る夢へ」とあるように、多和田さんに夢の世界に誘われたかのようにふわふわした余韻が漂う。特にリズム感と言葉遊びが心地好い『目星の花ちろめいて』、姫子の思い込みに何度もニヤリとなった『所有者のパスワード』が好き(永井荷風の「ボクトーキタン」も気になる)。どれも続きが気になる終わり方。もっと多和田さんの独特の世界観にひたりたくなる。

2018/11/05

なゆ

多和田さんの本を読むとき、異国の電車に乗り窓の外をぼーっと眺めてる感じに似てると思うことがあるけれど、「枕木」はまさにドンピシャな感じ。目に入る光景から想像、空想、妄想とぼわぼわ広がる思考。読み終った時、はっと現実に引き戻される心地よさ。表題作も素敵。パンクな友人ハンナとの日々。その文章の中からフッと切り取られたタイトルが何ともいえず美しい。でも一番うっとりしたのは「目星の花ちろめいて」。詩のように、リズミカルに不規則に言葉がステップを踏むような、何とも言えない読み心地。なんかもう、クセになる文章。

2017/01/05

どんぐり

2000年刊行の第28回泉鏡花文学賞受賞作。「枕木」「雲を拾う女」「ヒナギクのお茶の場合」「目星の花ちろめいて」「所有者のパスワード」の5篇。哺乳ビンの乳首になった私を主人公にした「雲を拾う女」が少々難解で、それ以外は理解が可能で、言葉のもつイメージの喚起、生成ともいうべき作品群。「別に駅のようなところへ行きたいと思ったことはないのに、列車の止まるのはいつも駅だ。駅は、鉄の腕を何百本も組み合わせて、ネジで止めて、そういう形に作ってある。屋根だけで、壁のない家。ベッドはないけれど、ベンチはいくつか並んでいて

2017/10/03

榊原 香織

幻想短編、ていうか、ドイツ生活での妄想というか。 表題はハーブティ

2023/08/04

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