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球形時間

球形時間

球形時間

作家
多和田葉子
出版社
新潮社
発売日
2002-06-01
ISBN
9784104361021
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球形時間 / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

タイトルからは難解な小説を予想して読み始めたが、ここで描かれる世界も文体も多和田葉子のそれとは随分違っていて、一見したところは普通の高校生の日常が描かれるかのようだ。作中の視点人物は3人。サヤとカツオ、これに担任教師のソノダヤスオのそれが加わる。もっとも、最初から随所に不穏な感じがないではない。ことにコンドウとナミコの存在と行動が、この世界に異和を混入させる。それでも、小説の中を流れる時間は、ともかくも日常だ。「序・破・急」の急は、まさに唐突に訪れる。最後に至って一気にシュールな世界に呑みこまれるのだ。

2014/01/11

どんぐり

多和田さんの初期の作品。主人公が意外にも高校生。冒頭で、プラットフォームで化粧をしていると、サラリーマンから「みっともない、土人か?」と問われ、「インド人」と聞き間違え、「あたし、サンスクリットなんかできません」と答えるサヤが登場する。そして「みっともない」の「みっと」って、どういう意味?「もったいない」の「もった」と似ていて、『変なの』と言葉遊びが続くのが多和田さんらしい。シュールな終わり方で、不思議な作品世界でした。

2018/12/10

bura

多和田葉子3冊目。第12回ドゥマゴ文学賞受賞作品。女子高生サヤの視点とクラスメートのカツオの視点からなる、高校生の日常を極めて通俗的に描いた物語。文体も他作品と比べ読みやすい。しかし少しずつ「歪み」を感じさせる展開が見えてくる。サヤが喫茶店〈ドジン〉で出会う不思議なイギリスの老婦人イザベラや、カツオが知り合うコンドウという青年との奇妙な関わり合い。そして突如カオス的な終末に向かう流れは、それぞれの小さなひびが大決壊を起こした様な衝撃だ。「俗」を文学として昇華させる。多和田作品の自由奔放さに又、踊らされた。

2021/08/13

りつこ

よくありがちな高校生の日常をベースにしながらも、生理的に嫌だったりざわざわと心が泡立つようなエピソードがそこかしこに散りばめられているのでなんだかものすごく気持ち悪い。軍隊っぽい教師とか母親の色を失った目とか同級生の写真を切り刻む女子とか日の丸と処女の対比とか…。色覚的だからイメージが頭にこびりついて離れない。なんだろうなぁこの小説。何かきっと意図があるんだろうとは思うけれど好きではない世界だった。

2016/12/05

tototousenn@超多忙につき、読書冬眠中。

☆5.0 かなり野心的な作品。変ぶりが妙に心地よい。

2020/11/01

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