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炎の来歴

炎の来歴

炎の来歴

作家
小手鞠るい
出版社
新潮社
発売日
2018-05-22
ISBN
9784104371068
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炎の来歴 / 感想・レビュー

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美登利

それほど長い物語でも無いのになかなか先に進まず苦労しました。戦後混乱の日本に生きる地方出身の主人公が、知り合いを頼って東京で働き始める序盤も息苦しさが伝わり、心が乱されます。アメリカ人女性と文通を続け平和と戦争に付いて語り合う場面は、主人公の恋が成就すれば良いのにと思うこともありましたが、徐々に主人公が身勝手な嫌な奴に変わっていく。私はベトナム戦争についてはあまり多くを知らないので、主人公が戦火のベトナムに渡り経験した一つ一つはとても恐ろしく現実味に溢れて伝わったのでそこは良かったかなと思いました。

2018/08/26

ベイマックス

意外であってるかな、小手鞠るいさんの小説は何冊か読んだけど、恋愛小説だったから。文通による恋バナでもあるけど、主題は『平和』。太平洋戦争・原爆・終戦・ベトナム戦争。読み応えのある物語でした。

2021/01/28

モルク

軍国少年として育った主人公。天皇を神と崇め、大本営発表そして新聞を信じていたが、終戦でそれが偽りであったと知る。苦学生であった彼は平和を希求するアメリカ女性と文通をし、それは14年も継続した。朝鮮戦争、ベトナム戦争とアメリカが介入することによって国土そして民族が分断することに苦悩した彼女の焼身自殺が彼にもたらしたもの、そしてベトナムで主人公が見たもの特に病院裏での光景、その真実は想像以上のものだった。とにかく力作である。

2018/11/09

なゆ

「アップル・ソング」からの縁で小手鞠さんの元に舞い込んできた二冊の本から生まれたストーリー。実話に基づいているのか。戦後間もなくの頃、一通のエアメールで繋がった日本の貧しい青年とアメリカの反戦運動家の女性。14年にもわたる“平和”といろいろな想いを込めた文通。それぞれの場所で平和への活動にのめり込んでいく。ヴェトナム戦争でアメリカの後方基地として日本も関わったというのは、知らなかったとはいえ、悲しい。何かが隠蔽されたようなヴェトナム視察。平和を願えば願うほど、戦争というものの虚無感があふれてくるようだ。

2018/07/15

Ikutan

『あなたとわたしのあいだには、太平洋を越えて、熱い電流が流れているかのようです』戦後間もなくの時代、貧乏学生だった主人公が、14年間にわたり、平和を希求するアメリカ女性と手紙を通じて交わした魂のやり取りの物語。正直、主人公に好感は持てなかったし、(彼の妻が気の毒過ぎる!)ラストの彼の行動にもモヤモヤが残る。ただ、実在する資料をベースにしているため、リアルで熱量も高く、多くのメッセージを受け取った。彼の見たベトナム戦争の悲劇は衝撃的だったし、日本の功罪には胸が痛んだ。これは、読んでよかったと思える作品。

2019/02/03

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