赤い月 上
赤い月 上 / 感想・レビュー
NAO
【2021年色に繋がる本読書会】1945年(昭和20年)。戦況悪化の報はあっても、空襲を受けるわけではない。満州は、落ち着いた日々の中にあった。だが、突如、ソ連が国境を超えてきた。そこから、満州で造り酒屋を営む森田家の過酷な引き上げ行が始まる。不在の夫を待たずに引き上げを決意する強さは、つまりは状況がどれほど悲惨なものであるかを意味する。
2021/01/13
あつひめ
戦争体験の映画やドラマ、歴史の授業などで耳にはしていたが、こうして実体験を細かに書かれたものを読むと改めて教科書では知り得ない苦しみが伝わってくる。波子のさっぱりした気性と行動力。暴動やソ連軍の攻撃にも耐えながら生きる道を模索する様子は、若かりし頃の波子の性格でわかる気がする。強いのとも違う。柔軟性があると言ったらいいのか。竹のようにしなる…でも、折れない…みたいな。まだ上巻だからこれからの様子はわからない。一人の女が荒れた時代を家族と共に乗り越えようとする生きることを欲する心を応援したくなる。
2020/02/05
ちゃとら
仕事の移動途中で読む物が無くなり、飛び込んだBoffで衝動的に、以前一冊読んだ「なかにし礼」の本を購入。小樽から満州にわたり造り酒屋を営んでいた波子一家の終戦から始まる。予想以上に面白い作品。下巻へ続く。
2024/05/03
ちょん
すさまじい引き揚げの実態。きれいごとではない、生き抜くための強さ。波子の母としての知恵と強さが浮かび上がる。下巻ではどうなっていくのか、とても楽しみ。
2015/06/06
さんつきくん
面白い!1945年終戦直後の中国・満州。敗戦後の混乱期に日本へ引き上げようとする主人公一家の物語。第1章と2章は、築き上げた財産を捨て軍用列車で一旦はハルビンへ向かう。ソ連軍の攻撃にあいながらの必死の逃亡劇に息を飲む。第3章ではいきなり戦前の北海道小樽での話しに遡る。波子と勇太郎が出会い結婚する。当時の日本情勢も細かく描かれて読みごたえがある。第4章、世界恐慌の中、満州に渡る。何もない牡丹江の村で日本酒を作りの森田酒造を立ち上げ一攫千金を狙う。これから森田家のサクセスストーリーが始まるのかとワクワクするが
2017/12/26
感想・レビューをもっと見る