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河岸忘日抄

河岸忘日抄

河岸忘日抄

作家
堀江敏幸
出版社
新潮社
発売日
2005-02-26
ISBN
9784104471034
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河岸忘日抄 / 感想・レビュー

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三柴ゆよし

300頁足らずの小説を読みきるのに、これほど時間をかけたのは、ひょっとするとはじめてかもしれない。セーヌと思しきフランスの河岸で船上生活を営む<彼>の生活に、なにか特筆すべき事件が浮上してくるわけではない。ブッツァーティ、チェーホフ、ツェランらの作品を再読し、船の大家や時折おとずれる郵便配達夫と会話を交わし、クレープを焼きコーヒーを淹れ、日本に住む年上の友人と手紙をやりとりする、要するにそれだけの話で、全篇が、彼岸の景色を眺めやりつつも、此岸にためらいつづけることについての省察に費やされている。

2012/07/05

どんぐり

これは随筆なのか、小説なのか、僕的には好みの作品ではない。海にむかう水が目のまえを流れている河岸で季節が何巡かし、読書をしたり、書きものをしたり、音楽を聴いたりして船上生活を送る主人公。彼はどこから来てどこに行くつもりなのか、なにを待ちつづけているのか、その解は得られないままに、なんとなく時間だけはあって、最大の営為は読書らしいということがわかる程度。ブッツァーティ『K』、クロフツ『樽』、マクドナルド『卵と私』などの本の紹介もしてくれたりしているので、ちょっとスノッブな感じがしないでもない。

2013/07/31

umeko

人には同じ時が過ぎているのに、こんなにも質や早さが違うのかと感じた。私の時間ではない「彼」の時間を、心地よく過ごさせてもらった。

2013/03/07

conyTM3

素敵な小説。好きです。 仮り受けた船で河の上に暮らす主人公の逡巡、日常。 「強い弱さ」意志を以てする弱さはある種の強さである ー 言い訳めいているけれど、巡らせる想いを聞いているのがなんとなく心地いい。 長いお話ですが、ずーっと読んでいたくなり最後は名残惜しかったです。 大げさではない新たな一歩にも好感。

2022/06/23

でんちゅう

友達から薦められた。堀江さんの本は2冊目。ストーリー性はなくても、彼の思索や哲学で語っていく、本当の意味で読書を楽しむ本だと思った。時間があり味わいながら読めたらハマると思う。今まで読書はストーリーの面白さに惹かれていたが、ちょっと違う文学の本も良いものだ。難しくて長かったと白旗を掲げながらも読み切った。

2021/07/04

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