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定形外郵便

定形外郵便

定形外郵便

作家
堀江敏幸
出版社
新潮社
発売日
2021-09-28
ISBN
9784104471065
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定形外郵便 / 感想・レビュー

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よこたん

“固有名詞には不思議な周回軌道がある。何年かに一度、呼びもしないのに向こうからあらわれて、忘れていないかを問いかけてくるのだ。” 記憶を呼び覚ますスイッチは、どういうきっかけで入るのだろう。気づいたときにはもう、ぐるぐると頭の中でその名が巡っていて、わからずじまいだ。堀江さんの、幅広く時に深く掘り下げられた記憶は、とこに仕舞われているのだろうといつも思う。ひんやりとサラサラ流れる水の如く心地よい文章が好きだ。が、かなしいかな読み手としての知識がついていかない。それでも新刊が出ると、わくわくとして手に取る。

2021/11/20

踊る猫

呆れてしまいそうになった。堀江敏幸の書くものは、そんな粗忽な形の反応を私に喚起させるほどに相変わらず、変わることがない。文人たちの仕事に触れ、引用を施し、そして自分なりの意見を述べる。この繰り返し。だが、実は変わっていないのはこの私の方かもしれない。堀江のエッセイをもっと多角的に読む視座を持ちえず、ついつい「堀江といえば」と性急な結論に飛びついてしまう。『定形外郵便』というタイトルは謎だが、メールやLINEの全盛期においても郵便という手段を(だが、東浩紀的な「誤配」の概念とは無縁に?)選ぶ彼の美学を味わう

2021/11/03

koji

2014~21年にかけ芸術新潮に連載した81編のエッセイ。著者は凝った表題に二重の意味を込めたようです。まず、著者に影響を与えた古今東西の作家達への手紙の形式を取ったこと。もう一つ、文学全集に糊付けされた付録のような「定形外の記憶」を起点として呼び覚まされた言葉の紡ぎを書いていること。例えば、加藤典洋の「少しだけ」、ジュリエット・グリコの「ムール貝」、河盛好蔵の「ココア」等。この記憶の紡ぎは、(とても著者程深くありませんが)私も大切にしているもの。いつか著者のように鋭角に切り込んだ思考に到達したいものです

2021/12/12

ソングライン

2014年から2021年に芸術新潮に発表された随筆集です。この間に開かれた絵画展、お亡くなりになった作家、文学者の思い出から作者の音楽、読書、スポーツに関する思い入れが、心地よいウンチクとともに語られています。所々に見え隠れする現在の強者の傲慢と悪徳に対する批判も見逃せません。

2021/12/01

ハルト

読了:◎ ゆるやかに全身に浸透するような文章。芸術的なあらたな気づきを与えてくれる。2014年から2021年までに芸術新潮にて連載されていたエッセイ。著者の芸術の素養が高いので、二度三度と読み返したりをしながら、深く浸る。このエッセイも芸術のひとつだと思う。▼ココアをコンデンスミルクで作るというのが美味しそうで、この本を読み終えた後に作って飲んでみたいなと思った。

2021/12/02

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