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枯葉の中の青い炎

枯葉の中の青い炎

枯葉の中の青い炎

作家
辻原登
出版社
新潮社
発売日
2005-01-26
ISBN
9784104563029
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枯葉の中の青い炎 / 感想・レビュー

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クリママ

表題作含む6編の短編。第1作目「ちょっと歪んだわたしのブローチ」10年平穏な生活を続けた夫に好きな人がいて、その人と1カ月だけ一緒に暮らすと言う。黙って見送る妻にそんな馬鹿なと思いつつも、情景描写だけで淡々と綴られる様子に自分の気持ちを重ね戸惑う。怖い結末。昭和54年の三菱銀行北畠支店人質事件をモチーフにしたもの。中国の金魚の話。表題作、野球スタルヒンの話。それぞれに趣が違う。フィクションとノンフィクションの境目がわからず、落ち着けない作品もあり、印象的であるものの、何かつかみきれない。でも、読まされる。

2020/01/06

なっく

どこまでが実在の話で、どこからが虚構なのか不明な話ばかり。その微妙なところをわざとクリアにせずに読者に想像させるように書いているところが上手いと思う。自分の身の回りに実際に起こっていることだって、真実を知っているとは限らないもんね。人は誰しも皆自分に都合のよいように憶測するもんだし。という意味でこれはホラー小説だな。

2020/01/26

ゆきらぱ

「ちょっと歪んだわたしのブローチ」十年寄り添った夫が明日から一ヶ月愛人宅で過ごすと言う。許してくれるね?わかったわ、お電話を毎日下されば。ということで始まる生活。この一話目の不思議さに打たれ三回くらい読んでしまった。お相手のファーストネームだけ教えてね、と言われ愛人の名を告げ、毎晩愛人の前で妻に電話をする夫。面白い夫婦です。悪趣味の権化なんだけど、上品に描かれています。他の短編もまあまあです。野球がよくわからないので野球の話はサラッと読みました。

2019/03/31

とろとろ

初読み。短編が6つ。最初の話は最後がどうなったのか何度も読んだけれど判らん。例え鉄道の人身事故であっても妻は駅で電車を待っている時の出来事だから決して犯人は妻じゃないと思うが歪んだブローチを持っていて何故か不気味で不思議な話。また実際に起こった事件を題材として、そこから犯人の生い立ちに飛んでみたり、或いは金魚とザーサイは全く違う話が最後に一緒になる。何だか幻想か煙に巻かれたような本だった。で、何が言いたい?。難しい。著者経歴をみたら芥川賞だった。またか…。読メの皆さんの書評が巧みだからなのかなぁ。

2017/04/07

安南

虚実の扇を閉じたり、開いたり。手並み鮮やかに青い炎をラピスラズリに変じてみせる。トリネコの葉をクルクルと回転させて彼方此方で秘蹟を起こす。魔術師か、奇術師か。それとも極上の香具師か。今回も辻原登は惑わし酔わせてくれる。文学作品やニュースネタを配する事で物語の奥行きを演出する。狡い手法だが、巧い。例えば『水入らず』なんて一読するとくっだらない話なのに、サルトルやジュースキントの「香水」を纏う事で厚みのある濃密な小説に変容するから不思議。

2013/07/03

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