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夢からの手紙

夢からの手紙

夢からの手紙

作家
辻原登
出版社
新潮社
発売日
2006-11-29
ISBN
9784104563036
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夢からの手紙 / 感想・レビュー

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安南

作者の水と船への想いにとっぷり浸れる短篇集。表題『夢からの手紙』はシュニッツラーの『夢奇譚』変奏。三島由紀夫好みの衆道秘密倶楽部への潜入は堪らなく魅惑的。『川に沈む夕日』は〔西鶴織留 津の国のかくれ里〕から『おとし穴』は〔西鶴諸国ばなし 大晦日はあはぬ算用〕を換骨奪胎。どちらも近松の『心中天の網島』を通奏低音に名残りの橋尽くしも効いている。江戸も大阪もかつては川と橋の水の都だったのだなぁと、在りし日を切なく想いサウダーデ気分を満喫。

2014/09/25

tomi

多彩な時代物の短篇6作。表題作は謎の集団に惹かれて行く男と、国もとの妻からの手紙に書かれた夢にまつわる、妖しい雰囲気の幻想譚。「菊人形異聞」は菊の魅力に憑かれた男が、記憶を失った美しい娘を見染め、結婚するがある日突然失踪してしまう話。辛い過去を抱えた彼女の心情がとても切ない。この2作が好み。「おとし穴」は太宰治の「貧の意地」と似ていると思ったら同じ西鶴作品が原案だった。但し同じ題材を扱っても軽妙な人情話の太宰とはだいぶ趣が異なり、この作品ではお金に絡む黒い感情が悲惨な結末を迎える。

2015/09/11

eriko*

初めての作家さん。先入観なくよんだが、原典を下敷きにして、ひねりのある物語は、ちょっとゾクッとする結末をを迎え、楽しめた。表題作は「アイズ ワイド シャット」と原作が同じだそうだが、こんな 話だったっけ?

2017/01/28

松風

シュニツラー『夢奇譚』を冒頭に掲げた表題作だけでなく、西鶴や浄瑠璃を下敷きにした他作品も「夢と現実」のテーマが通底している。

2014/12/24

KAZOO

著者久しぶりの短編集。「枯葉の中の青い炎」ではかなり奇妙な話がありましたが、本作では江戸時代を背景に西鶴などの作品を換骨奪胎してうまく描いています。辻原ワールドとでも言っていいのではないかと思います。6作のなかでは特に私は「夢からの手紙」がシュニッツラーの「夢奇譚」からのものであるということで興味深く読みました。かなり好き嫌いのはっきりする作品ですが、シュニッツラーの本作を原作にした映画の「アイズ・ワイド・シャット」に似た雰囲気を楽しめました。

2013/01/10

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