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銃

作家
中村文則
出版社
新潮社
発売日
2003-03-01
ISBN
9784104588015
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銃 / 感想・レビュー

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れみ

主人公である大学生の「私」が拳銃を拾ったことによって内面に変化が起こっていく…というお話。家で眺めたり磨いたりして密かに楽しんでいたものが次第にエスカレートしていく行動。手に入れたものが拳銃だからすごく突飛に思うし取り返しのつかない事件に発展することになるんだけどたばこやお酒やギャンブルや恋愛などもっと身近なものに置き換えても自分の心が支配されていくところなんかは通じる部分があるなあと感じられた。

2016/05/07

青蓮

禁止されたものを密かに持つ喜びと高揚感ーー平凡な自分が「特別」になれたような錯覚。ある夜、偶然に手に入れた銃に激しい愛着を覚える主人公。その愛着はやがて所持しているだけでは飽き足らず、「使ってみたい」と思うようになる。人を殺すことを夢想し、実際に計画を立てるものの、ぎりぎりの所で踏み止まる(と言うよりは壁を飛び越えられなかった)。彼はその挫折により、銃を手放す決意をするがーー濃密な心理描写は窒息しそうな程、重苦しい。主人公に共感は出来ないけれど、銃を拾ってしまったのが彼の不幸だと思うと何ともやるせない。

2017/09/06

文庫フリーク@灯れ松明の火

20歳そこそこの頃、勤務先の同僚(サーファー)が「体験してみる?」と大麻を分けてくれた。当時吸っていたセブンスターの1本から、半分近くタバコの葉を抜き取り、器用に乾燥大麻と思しき葉っぱを詰めてくれた。見た目はただのセブンスター。犯罪の意識は殆ど無く、これを吸ったらどうなるんだろう?と、恐れより興味の方が勝ったあの日。結果から言えば吸って何ら変化無く、これならタバコだけの方が断然旨いと思った。たぶん同僚にからかわれたのだろう。だが、もし本物で自分がハマっていたら・・・と思うとゾッとする。これが銃だったなら→

2014/12/24

nyaoko

中村文則デビュー作。うっ、しまった。文庫の方には短編があったのか〜。図書館本を借りてるので知らなかった。機会があれば文庫も読もう。それにしても、銃を手にした主人公の心理描写が凄まじい。銃の持つ魅力に侵されていく様子に冷たい恐怖を感じる。銃爪を引こうとした時に主人公が狂ったのではなく、銃を手に入れる前から、いや、死体を見つけた時にはもう彼の中には狂気が目覚めていたのかもしれない。中村文則、まだまだ彼の世界を読まなくてはならない。

2016/07/22

あじ

前置きしておこう。彼には破壊衝動も残忍さも好む傾向はなかった。─その美しく手に持ちやすい“銃”は、意思を伴っているようにして描かれる。陶酔と麻痺で彼をがんじがらめにしてゆく執拗さ。そこに“銃”があるというだけで。─河原の死体も“銃”に仕向けられたのかもしれない。頭部をガン(銃)と思い切り殴られたような、私の暴発。

2018/09/17

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