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灰塵の暦―満州国演義〈5〉

灰塵の暦―満州国演義〈5〉

灰塵の暦―満州国演義〈5〉

作家
船戸与一
出版社
新潮社
発売日
2009-01-01
ISBN
9784104623068
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灰塵の暦―満州国演義〈5〉 / 感想・レビュー

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キムチ

文字通り、灰塵の時間が刻まれて行く。日中戦争がドンパチ繰り広げられている空の下で、種々の思惑やら権謀・商談・男女のもつれまで有象無象の出来事だらけ。4巻まで丹念に追い続けた話、5巻の中ばから、何故か頭の中に入ってこない。悪戯に文字を追うだけ・・何とか読了。手練にたけた胡娘に溺れる太郎、次郎は哲学的思惟の彷徨へ。三郎がこの当時の軍国エリートらしい歩み方をしているかも。四郎はややもすると等身とはいいかねる場面に置かれてばかり。難しい時局の捉え方、南京大虐殺の場面を読むのみでは語り足りない。

2015/01/01

KAZOO

2.26事件の決着からその後、内閣もころころと変わり、日中戦争へと突入していきます。それとは別に主人公のひとり、特に次男の動向がかなり大幅に書かれています。今まで寄り添ってきた従者(馬と犬)が死んでしまいいよいよ一人になってしまいます。船戸さんも結構下世話な話が好きですね。小沢征爾の父親のことを書いたり、その名前の由来を書かれています。

2014/06/26

いくら

二二六事件の清算と盧溝橋事件から日中戦争のはじまり、南京大虐殺と連なる第五巻。最初の三章は章末がすべて次郎のシーンで次郎ファンとしては嬉しいかぎり。ただそんな喜んでばかりはおられず、今回は辛い場面ばかりで、なんとも。そして巻末の酸鼻を極める南京大虐殺。破滅への曲がり角なのか。

2014/05/10

NAO

この巻では、敷島四郎が長兄太郎の噂を聞いて、「兄はいつも勿体つけて問題を先延ばしにしていた」と手厳しく評価している場面が印象的だった。四郎の言葉は、当時の日本を暗示しているようだ。次郎は、彼の自由の象徴とでもいうべき愛馬風神と愛犬猪八戒を失う。この喪失によって、次郎は心のよりどころを失くしてしまったように見えるのがちょっと気になる。日本の人口問題と、農村不況。この問題を解決するために満州移民という国策を取らざるを得なかった日本。この国の矛盾が、満州で大きく渦巻いている。

2015/07/08

0717

226後、盧溝橋事件から支那事変、通州事件、パネー号事件、南京攻略戦、南京入城まで。風神が!、猪八戒が!、次郎はこれからどうするんだろう。あったなかったの南京事件は、あったけど中国側の主張する程ではない中間派の説と言ったところか。通州事件の復讐心、膠着した上海戦から生じた焦燥、兵站の不徹底、憲兵の圧倒的不足、...が惨劇を生んだとしている。当時から誤報、誇張、中共の戦時プロパガンダや米国の思惑、戦後左翼の主張等で、真実はどうなのか見えにくくしている。

2015/07/18

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