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満州国演義 (6) 大地の牙

満州国演義 (6) 大地の牙

満州国演義 (6) 大地の牙

作家
船戸与一
出版社
新潮社
発売日
2011-04-01
ISBN
9784104623075
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満州国演義 (6) 大地の牙 / 感想・レビュー

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藤枝梅安

第5巻から間があるが、エピソードを読ませつつ前の5巻を思い起こし、敷島4兄弟のそれぞれの行動を追う構成。敷島4兄弟に昭和初期の様々な立場を代表させている。ヒトラー、スターリンを初めとしたヨーロッパの首脳たちが、アジアの覇権を競う。日本政府は軍の圧力に屈し、政府としての機能を失い、日米開戦に向かう。史実を基に、4兄弟に関わる男女の姿を織り交ぜて物語を「歴史」から「営み」に還元している。主な登場人物は男性。名誉と権力と女性への欲望により男たちが危険に身を投じ、死地に向かう姿を冷徹に描いている。

2013/01/20

いくら

満州国とソ連の国境沿いで勃発したノモンハン事件。村上春樹の『ねじまき鳥クロニクル』でも出てきたけど、全くと言っていいほど知識はなく、この作品で全貌を知ることができた。ノモンハンでも中国全土でも日本軍が抜き差しならない泥沼に嵌っていくのがわかる。以下は取り留めもない感想ですが、次郎がモーゼルを棄ててベレッタを持ち、馬からルノー車を乗り回すようになったけど、どっちも素敵です。甲乙つけがたい。あと、三郎が吉林の豊満ダム建設地近くで犬が骨を噛み砕く音を聴くシーン、不気味だった。

2014/05/17

KAZOO

いよいよノモンハン事件が出てきます。また甘粕が満映の理事長になっています。満州建国大学のことも書かれていてかなり私的には興味のあるところでした。安彦良和さんの「虹色のトロッキー」や村上もとかさんの「龍」というコミックと重なるところがあって目が離せませんでした。四人兄弟も様々なちょっとした事件もあったりするのですが、それぞれの観点から書かれているので全体が見まわすことができ、満州国についての興味がさらに深まりました。

2014/07/01

クサバナリスト

ノモンハン事件、言葉だけの知識しかなかったが、独ソ不可侵条約など西側諸国の状況と合わせ考えると当時の状況がよくわかる。そこにそれぞれの立場での敷島四兄弟の物語が当時の日本人の状況を表している。

2016/02/20

NAO

日本がソ連とノモンハンで戦っている一方で、独ソ不可侵条約調印。植民地を手放したくないヨーロッパ列強だけでなく、虎視眈々とアジアの覇権を狙うソ連の動きが不気味だ。ノモンハンでの敗因は兵站の差だったが、日米開戦前からこの有様とは、呆れるしかない。こういった物資不足と統率系統の不備が、以後、東南アジアでも太平洋の島々でも何度も繰り返されることになると思うと、本当にぞっとする。こんなにも危うい国にいながら淫蕩に耽っている敷島太郎は、日本の現状を直視しようとしなかった多くの政治家たちのカリカチュアなんだろうか。

2015/07/17

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