南冥の雫: 満州国演義 8
南冥の雫: 満州国演義 8 / 感想・レビュー
よっちゃん
百田尚樹の『永遠の0』。互いに「靖国で逢おう」と笑顔で語りかけながら死地に赴く特攻隊員。彼らはまちがいなく「英霊」となったのだろう。わたしはその悲壮の死に涙したものだ。どこかに勇ましく雄雄しい覚悟があった「死」である。しかし、『南冥の雫』にある日本軍兵士の死はそうではない。戦闘の死ではない。飢えと病気、「虫葬」という地獄である。兵士たちが死に際に洩らす言葉のほとんどが司令官や首相に対する怨嗟だった。これこそがあの戦争の死だ。わたしはまもなく古希を迎える。70年前の誕生の年にあった事実を心に刻んでおく。
2014/01/26
いくら
最後のページまで読み切って動揺をなかなか抑えることができなかった。改めて『南冥の雫』という題字を眺め、そういうことだったのかと気落ちしながら納得。ミッドウェイ海戦を境に南方で苦戦を強いられる帝国軍。対ソ戦で大打撃を受けるドイツとイタリアの降伏。大本営の虚実を垂れ流しする新聞。揺らぐ東条英機内閣。危機が迫っていても手をこまねいて行動できない皇国と敷島家の長男が重なる。インパール作戦に参加し地獄へ踏み出す次郎。三郎の未来も暗いだろう。四郎が戦後の明るい光となり得るのだろうか。
2014/06/29
myunclek
戦争という歴史の渦に翻弄される日本人を敷島四兄弟を通して語られる物語も、終戦を迎える過酷な状況に。何とも悲惨な戦況の中、家族のために命を賭した人々の思いが無念でならない。次郎の死にざまは、まさに太平洋戦争で命を落とした兵隊の怒りの象徴だ。嫌なやつだと思っていた間垣が実は…敷島家との因縁も次巻には解き明かされそうだ。最終巻、早く手にしたいものだ。
2014/04/28
0717
シンガポール陥落からフィリピン戦のマッカーサーの敗走、連戦連勝に沸く日本。しかしミッドウェー海戦で雲行きが怪しくなり、ガダルカナル、山本五十六の戦死、アッツ島玉砕、南洋での玉砕•••、インパール作戦まで。官僚の太郎は家庭が破綻、当然の報いであろう。三郎は憲兵隊から機動連隊少佐に。四郎は満映勤務から関東軍特殊情報課の軍属へ。そして次郎は囚人部隊を率いてインパール作戦を側面から支援するが•••。次郎まじで!!
2015/08/25
モモのすけ
イタリアが負け、ドイツもノルマンディ上陸で追い詰められてきた。日本はミッドウェイ以降敗色が濃くなってきた…。このシリーズもあと一冊で終わりとは寂しい。
2015/06/28
感想・レビューをもっと見る