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さよなら渓谷

さよなら渓谷

さよなら渓谷

作家
吉田修一
出版社
新潮社
発売日
2008-06-01
ISBN
9784104628049
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さよなら渓谷 / 感想・レビュー

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扉のこちら側

初読。幼児殺人事件と、その取材のうちに明らかになってくる隣家の夫婦の秘密。かつての被害者と加害者が、幸せにならないように一緒に暮らすという設定、夏に消えた彼女が切ない。

2013/05/28

風眠

お互いのすべてを受け入れることは、とてもとても難しいことなのに、レイプ事件の被害者と加害者が内縁関係でいるなんて、正直理解できない。けれど、知られてしまうくらいなら、はじめから事情を知っている人と一緒にいればいい、という、依存関係が成り立ってしまう心理も分からなくはない。人として踏みにじられる暴力、それがレイプ。そんな事件に巻き込まれた女は、たぶん誰しも、自分は幸せになってはいけないと思ってしまうだろう。加害者にしたことを忘れさせないために、自分が幸せにならないために、哀しいけれど、これもひとつの愛の形。

2014/04/06

chimako

「内妻のかなこが証言した通りです」なぜ?何で違うって強く言わない?尾崎が留置所の中で一体何を思っているのかまるで想像がつかなかったのだが……〈生活〉を構築してはいけないと考えたのか。ささやかな普通の暮らしを自分自身の奥底が拒否したのか。かなこの疾走に「二人で幸せになってもいいじゃありませんか」と声を荒らげるのは記者の渡辺一人ではないはず。一筋縄ではいかない、他人には理解し難い愛情もある。人の不幸を自分の慰みものにするイヤな大人が多すぎる。尾崎の犯した罪は許せないが、それでも二人で幸せにになってもらいたい。

2015/12/02

kyon

幼児殺人事件から始まり、え?ミステリー?と驚きました。するとその後は、ミステリー以上に考えさせられるストーリーに。最終的な所を読者に想像させる吉田修一さんらしい本。学生時代の出来事が、何年も何年も影響し続ける事があると言うことを若者たちに知って欲しいです。大学生の頃、ナンパしまくっていた男の子、居たけれど、大丈夫だったのかな?女の子を傷つけていなければ良いのだけれども。

2016/05/05

けい

一般的に嫌悪感を強く感じやすい幼児の殺害と性犯罪。導入に幼児殺害を持ってきて、それから繋げて性犯罪の当事者たちの心理を掘り下げるストーリーとなっています。幼児殺害の事件を追っていた記者の渡辺はふとしたきっかけから、被疑者の隣人が性犯罪の加害者であることに気付き、これを含めて面白い事件が書けると。そして調べを進めるうちに、真相につきあたり自身の生活と心理に変化が。ラストはこれからどうするの読者に問いかける吉田氏らしい投げ方だった。

2013/10/05

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