看守眼
看守眼 / 感想・レビュー
みも
際立つ斬新な着眼点…刑事職を望むも叶わず看守職で退官目前の男の執念「看守眼」フリーライターとして鬱屈の日々を送る男の自虐「自伝」心身症の夫と暮らす家裁家事調停委員の女の怨恨劇「口癖」ホームページを立ち上げた県警情報管理課の男の幸福の確認「午前五時の侵入者」卑屈な思いを抱える地方新聞社整理部の男の隠蔽工作「静かな家」県知事をオヤジと呼び采配を振るう知事公設秘書課の男の疑心暗鬼「秘書課の男」50頁程度の6篇。横山節が冴えわたる駄作なしの珠玉の作品集。嫉妬・復讐心・狡猾さや矜持…負の感情が渦巻く心理描写が秀逸。
2020/11/10
nakanaka
六篇から成る短編集。 留置係を長年勤めた退職間近な警察官、フリーライター、家事調停委員、情報管理課の警察官、新聞社社員、知事秘書課課長という特殊な業務に従事する人達の話。 特に印象に残ったのは、家事調停委員の主婦を描いた「口癖」。 どの家庭にも多かれ少なかれある様々な問題が話のテーマとなるだけに他人事ではなく考えさせられる。他人と比べて「ウチが勝った」という感情は抱きやすいものだが、そんなものは意味が無いのだという主人公の結論に妙に納得。人生思い通りにはいかないものだ。
2020/06/27
まるぷー
初読み作家さん。六つの短編。①「看守眼」刑事になれなかった定年間近の看守が殺人事件を追う②「自伝」売れないライターが大会社の会長の自伝を請け負う③「口癖」家裁調停委員が離婚調停の当事者に発した口癖から忌まわしい事実が甦る④「午前五時の侵入者」県警HPにクラッカーが入り管理者の奔走⑤「静かな家」県民新聞社の編集員のミスをアリバイに利用した殺人事件の真相⑥「秘書課の男」有能な県知事秘書がある日知事の信頼を逸した理由とは?。様々な職業の主人公の信念や自虐や苦悩が読み取れその結末に納得した。
2022/07/19
もぺっと
留置場の看守、家裁の調停委員、新聞社の整理部員、県庁の秘書課長などいろいろな職種の人物が主人公の短編集。大小様々な事件や問題が起こり、意外な真実が判明する。中身の濃い人間ドラマを見せてもらった。いつもながら安定感のある、横山さんの本。
2016/07/25
さよちゃん
読み応えのある短編集です。どの話も、このネタで1冊書けるんじゃ?と思ってしまいました。看守や、警察署の事務員や、裁判所の調停員、県知事の秘書、というちょっと珍しい職業の人が主役で、面白かったです。つまらないことですが、警察署で勤務している人って、全員「警察官」ではないんですね。事務の人は、地方公務員なんだと、はじめて認識しました。読んでよかったです。
2014/07/14
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