下山事件
下山事件 / 感想・レビュー
cronoq
「下山事件の真相を暴くルポルタージュ」と思いきや、途中からどんどん脱線。最後は「下山事件の取材をする森達也の軌跡」へ。なお、下山事件についての新事実や新解釈等は本書にはあまり多くは記載されていないし、森も結論を急いではいない。要するに、これは森の取材ノートのようなものなのだろう。森が何を意図して本書を出版したのか、いまいちよくわからなかった。本書に登場する何名かの取材対象者へのエクスキューズなのだろうか。なお、本書を含む「三部作」の残りの2冊は未読なので、近いうちに読んでおきたい。
2011/12/04
tama
昭和24年(1949年)7月5日、初代国鉄総裁の下山定則は突如姿を消し、翌日未明、常磐線五反野ガード下で轢死体として発見される。他殺を印象づける証拠の数々に反し、警察の最終的な結論は「自殺」。この事件をきっかけに、日本は戦後の復興と繁栄へと突き進む。昭和史最大の謎を、ドキュメンタリー映画「A」の森達也が追ったノンフィクション。陰謀論と紙一重の、にわかには信じ難い組織や人物が続々と登場。しかし徐々に見えてくる事件の真の姿は、その後の日本の辿る運命を確かに暗示しています。
2012/09/18
あらい/にったのひと
文章は流石に上手い。が、割としょうもない本。まあ16年前の本ということでジェンダーロール的なところは見逃すとしても、週刊朝日との揉め事は、ねえ。それとは別に正義云々と最後の方で言い訳しているけど、そんなん自覚があるなら黙って恥知らずな人生を歩みなさいよ、と思う。まあ人生でそんな機会は無いけれど、この人には絶対に取材されたくないなあと思いました。1日で読み終わるけど、下山事件に関してある程度網羅的な話を知るには丁度いいかもしれない。
2020/07/31
たぬうさぎ
あまりにも真相が不明で謎めいているのが不思議で、何かはっきりさせたい気持ちで読んだ本。 だけど読んで行くうちに、日本にとってこの事件の本質はそんな単純なことじゃないと気づかされる。 戦後何十年も経って生まれた者には無い感覚だったけど、あのころの日本と今の日本の地続き具合に膝が震えました。 事件の真犯人や本当の黒幕についての明確な見解を提示して欲しいなら手に取らない方が良いと思います。
2018/02/10
UL1007
戦後の混乱の中で米情報機関の暗躍、右翼、左翼、政治家の深い関わりがよくわかる本。戦後、財閥系や既得権益者を弱体化させるために左翼、共産党を担いだが、アジアが赤化していくことと反共化の流れの中で、はしごを外すことになる。他の紛争国でやられているのとそっくりなことが日本でもやられていたことを知った。後書きの後味が悪いね。
2018/02/01
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