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海の仙人

海の仙人

海の仙人

作家
絲山秋子
出版社
新潮社
発売日
2004-08-28
ISBN
9784104669011
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海の仙人 / 感想・レビュー

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kinkin

「海の仙人」というタイトルが気になっていた。読んでみるとなるほど都会からみると敦賀という町は確かにそんな気にもなる場所なのかもしれない。というのもわたしの住んでいる静かな町だ。水島や水晶浜も車で20分くらいのところにある。平日に行けば人が全くいない日もある、何時間も人に会わない時もある。波打ち寄せるだけの時間、パット・メセニーの曲と松林、似合うかもしれない。かりんとの別れを迎えるが、失った気持ちやしばらくの語らいに得た気持ちは海の仙人なら想い出として海とともに持ち続けることができると思った。

2018/04/02

nico🐬波待ち中

春の終わりにやって来たファンタジー。不思議な存在感を放つ彼。姿は見えなくても気配だけは感じられる。「生きている限り人間はすすんで行く。死んだ人間は置いて行くしかないのだ」一人生き続けて、進んで行くことはなんて辛く悲しいことなんだろう。それでも人は進むしかない。仙人のように世の中を避けて、自分の殻に閉じ籠ってもがきながらも、ありのままの今の自分を認める河野。色々なものを亡くしたけれど、優しく待っていてくれるものもある。切なくて嬉しくて泣けてくる。絲山さんの作品の、言葉にならないふんわり優しい余韻が堪らない。

2017/10/26

酔拳

宝くじが当たりデパート店員を辞めた主人公。敦賀の海で働かないで暮らす下らない男の小説かと思いきや、違った。恋人との出会い、主人公の過去の性へのトラウマ、元の同僚女性との再会、元同僚女性の主人公への叶わぬ恋慕、恋人の病死・・・神様ファンタジーの出現など、短い小説の中に考えさせる要素が詰まった作品でした。特に、働きざかりの恋人の病死からの主人公の生活の表現の仕方が清々しく、脳裏に残る文章でした。また、何度も読みたい作品となりました。

2018/01/01

けんとまん1007

敦賀をベースにした物語。途中、そこから、金沢~富山~新潟への旅。その途中ででてくる場所も懐かしい。敦賀にも行ったし、富山に暮らし、学生時代は新潟にいて、金沢はよく行くので、土地土地の風景・匂いがよくわかる。そんな中で、不器用なぐらいに真摯に生きていく。人は、いろいろな思いを持ち、いろいろな事情の中で生きていく。温かくて、それでいて、少し、寂しさが残る。

2022/02/13

おくちゃん🍎柳緑花紅

泣いてしまいそうな、泣きたくなるような、こんな気持ちになった作品は初めてだった。上手く感想は書けないけれど、ファンタジーという神様はきっといつでも、それぞれの心と心を並べて寄り添ってくれているような気がする。海の仙人というタイトルも素晴らしい。孤独.、喪失、そして真実とはすなわち忘却の中にあるもの。

2013/12/19

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