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妻の超然

妻の超然

妻の超然

作家
絲山秋子
出版社
新潮社
発売日
2010-09-01
ISBN
9784104669042
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妻の超然 / 感想・レビュー

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めろんラブ 

超然・・・①高くぬけ出ているようす。他と関係しないようす。②俗世間からはなれているようす(角川国語辞典新版)。妻、下戸、作家の超然三態。改めて絲山さんの視点の独自性と鋭さに舌を巻いた。”超然”というあまりなじみの無い言葉を引っ張り上げ白日の下にさらすことで生じる可笑しみと哀しさ。日常、主に他者との関係で、何らかの齟齬を感じる向きにはかなり共感性の高い作品かと。ライトでエンタメ性の高いものがお好みの皆様、深秋の候にいつもとは毛色の違うザ・純文学はいかがでしょう。大丈夫、読んで損はない、はず。

2012/11/02

なゆ

う~わ、面白い…と思わずつぶやいた一冊。超然度がどんどん深まるような三つの超然。さわりだけ読んでみるつもりが止まらず、眠気も蹴散らして一気に読んだ『妻の超然』。バレバレな浮気にかまける夫を、手のひらの上で遊ばせるように実に超然とどっしりと構えている妻。妻ならではの〝落し物〟の使い方。あの夫の寝言と妻の反応の可笑しみ。ああ、おそろしい。『下戸の超然』は、下戸の苦労や〝ポジティブな不毛〟について共感。でも一番心に残るのは『作家の超然』。入院する作家の話だが、これは絲山さんの心の内を覗いたような気がしてドキリ。

2014/08/16

chimako

「超然 ①かけはなれているさま。高くこえぬきんでるさま ②世俗にこだわらず、そこから抜けでているさま(広辞苑第7版より)」 雑事雑音に惑わされず淡々とやり過ごす そんな感じかと思ったらかなり上から目線な言葉だった。だから理津子は気づいたんだ。超然は怠慢だったのではないかと=[妻の超然] だから怒ったんだ美咲は。「超然としてればいいよ」と=[下戸の超然] だから、時子はすべてが滅んだ後の夕映えを待つのだ=[作家の超然] 絲山さんは我々が自分でも気づかない心の襞に沈みこんだ言葉を表に出すのが上手い。

2018/07/25

nyanco

妻の超然たる態度が実に面白かった。そして、妻が見つけた『落し物』…、このエピソードが最高!50女の夫への不信感だけでなく、実家での様子や落し物騒動後の夫婦の話などとても良かった。周囲の人々のキャラクターとその描き方も素晴らしい。理津子が「超然」だと思っていた夫への態度が別のものだと気づく終盤。超然が敗れ去ったシーン、これはなかなか見事です。超然では無い別のもの、これは是非、読んで欲しいと思い、敢えて伏せておきます。絲山作品、苦手意識でスル―しなくて良かった、次の作品も読みたいと思っています。続→

2010/10/14

みゆ

初読み作家さん。短編3話。一番気になっていた『妻の超然』の夫の浮気に清々しいまでの無関心、その独白にニヤリ。でも旧友が書いてくれたストーカーへの手紙の「人間扱いしただけ」がまったくピンと来ずモヤモヤ。後で作者紹介を見たら芥川賞作家とのこと。分かんなくても文学ならそんなもんかと、なんか納得です(^-^; 小説として素直に読めたのは『下戸の超然』主人公に共感です(^^)v

2019/11/13

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