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薄情

薄情

薄情

作家
絲山秋子
出版社
新潮社
発売日
2015-12-18
ISBN
9784104669073
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薄情 / 感想・レビュー

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遥かなる想い

第52回谷崎潤一郎賞受賞。 雪で閉ざされた前橋の風景は、心を閉ざす 宇田川静生の性格形成に影響を与えたのだろうか。情が薄い宇田川の内面を著者は丹念に 描いていくが、現代の地方都市の描写は雪と 被ってひどく寒い..それにしても この情熱の なさは 何なのだろう..男女の顛末もひどく あっけなく 本当に情が薄い物語だった。

2016/11/13

ケイ

時間をかけて丁寧にゆっくり読んだのだけれど、特別に面白かったわけではない。妙に気になるタイトルの「薄情」は、主人公の男の事ではないようなので、なら何が薄情なのかと思いながらページをめくる。結局余所者を受け入れられない薄情さというのもよくわからないし、描きたかった主題は、薄情な田舎のことか男の事かもはっきりせず…。タイトルに惑わされたような気持ち。主人公が男性っぽくなく感じたのは、作者が女性だからだろうか。

2016/09/05

いつでも母さん

ほどよい読後感に浸っている。タイトルから冷たい気配を想像した私はまだまだ浅い。これが『薄情』ならば、人生・人間、大体がそうなのではないだろうか。群馬の事も学ばせてもらって『楽山園』も訪れてみたい。「一歩違えば見えるものも違う」は、なんと的を射た言葉だろう。途中何度も『芥川賞』が過ったのだが、どんどん良くなる。その空気に同化した私がいた。特に最後数ページは良い!絲山作家、滋味豊かなと帯にあるのは本当でしたね。

2016/01/24

なゆ

何に対しても熱くなれず他人ともなぜだか深く関わろうとしない宇田川静生。自分には何かが欠落していると思いながら。でも知り合いの木工職人の工房で集う人達の空間は心地よいと思っている。そんな宇田川の日常にもいくつか心を波立たせる出来事が…。よそ者、境界、とふと心に引っ掛かる言葉についても宇田川と共に考えつつ、薄情なのは宇田川か、それとも他の人達か、いやいや薄情ってそういう意味だけじゃないってことだよね、と。薄くて浅い交わりのなかで、深い深い話が広がっている。珠玉の文章もいっぱい。最後のエピソードが光ってて好き。

2016/02/25

chimako

何とも感想の書きづらい本だった。地元に足をつけ生活しながらも都会から来たよそ者に持つ憧れや嫉妬や見栄が漂う場所、変人工房。そこが燃えたことによって気づく自分の中の毒。条件付きで東京の大学を出て伯父の後継として神主修行中の宇田川。離婚して地元に帰ってきた蜂須賀。変人工房の主、工芸家の鹿谷。問題なかった位置関係が、火事と不倫という田舎の一大事でがらりと変わってしまう。「よそ者」はあっという間に削除されていく。田舎に住むよそ者としてはわかりすぎて何となく嫌な感じになる。相変わらず上手いなあと感じて本を閉じた。

2016/07/07

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