月の上の観覧車
月の上の観覧車 / 感想・レビュー
ミカママ
萩原さんて、こういう作品も描けるんだったんだよなぁ。8つの短編のうち、ほとんどの主人公が40代以上。人生の折り返し点を過ぎて「あの時ああしていたら」「あの時に戻れたら」と自答してみる。「人生に二周目があればいいのに」とも。『トンネル鏡』では、故郷を離れた主人公に我が身を重ねてみたし、唯一の女性目線の『レシピ』では、私が今まで作ってきた料理やその当時の恋人たちのことを思い出してみたり。一言で言っちゃうと喪失の物語なんだけど、その先に見える一筋の光が、とても愛おしい作品集でした。
2015/07/19
まこみん
表題作含めて8編から成る短編集。その何れもが一つ一つ丁寧に読みたくなる話。人の人生をその時その時点で振り返る。…世の中の動きに翻弄されたり、時流に上手く乗れたり、ときめき嬉しかった事、又は深い後悔の日々、別れ、取り返しのつかない哀しみ… 他人の知らない処で人は各々の人生というドラマを不器用ながらも歩んでいく。そして読者である私達の心にそっと溶け込んでいく。その中で「レシピ」「月の上の観覧車」が特に印象的でした。
2016/11/20
美雀(みすず)
どの話にも喪失感が漂っていて、悲しい、寂しい気持ちにさせられます。だけど「私はここにいたんだよ!」とさりげなく一言かけて旅立つような感じがしました。若い人よりも中年以上の読者が読んだらしっくり来るのかなと思います。勿論、若い人にも一回読んで、またその時が来れば再読されても良いと思います。
2016/12/15
ハッシー
よかった
2018/04/21
takaC
大切な誰かの面影はいつも後悔の記憶の中。苦くて、苦くて、愛おしい8篇。〜まさにその通り。 「トンネル鏡」小説新潮2009年7月号/「金魚」小説すばる2009年12月号/「上海租界の魔術師」小説新潮2010年7月号/「レシピ」小説新潮2010年4月号/「胡瓜の馬」yomyom vol.18/「チョコチップミントをダブルで」小説新潮2011年1月号/「ゴミ屋敷モノクローム」小説新潮2010年1月号/「月の上の観覧車」小説新潮2008年7月号
2017/02/17
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