ナンバーワン・コンストラクション
ナンバーワン・コンストラクション / 感想・レビュー
ミツ
確かにこれは読み手を選ぶだろうなぁ……。 抽象的なキャラ=役者として描かれる人物像や大時代的なセリフなど極めて演劇的な要素が強い。 男女師弟複数の人物に焦点を当て愛憎劇が展開され、神の愛の理不尽と信仰故の受苦、それに対する人間の性愛と永遠の赦しの勝利といった宗教的な主題が作品の核となっている。 しかしそれが建築と他者というもうひとつの主題とどのように連関しているのかはいまいちよくわからなかった。要再読か。
2010/05/31
recode
記号化/抽象化された人物を描いているのに、全く不自由な感じがしないのは素直に凄いと思う。人物の核を外さない。然るべき理由を以て然るべき順序で舞台が展開され、人物が配置され、物事が語られてゆく。それにしてもまぁこれだけ理屈っぽくしてもリーダビリティを損なっていないのは良いね。若干説明過多な感じはするけど……。あと、最後はあれで良いと思う。鹿島田真希がこんなラストを書くとは思ってなかったけども。
2010/02/11
なずな
登場人物の感覚は何一つ共感出来ないに理解することで共感した気になってしまうという不思議な感覚に陥った。一人一人ににスポットライトがあたり、自分の考えを話して、消えていくステージのよう。意識と無意識の話を突き詰めるために建築と構成を使ったのは面白かった。この雑然とした世界で生きるということ、自分として生きるということを示すために不思議な登場人物を出し、それを信じさせる表現がすごい。そんな人は現実にはいないと思うけど、彼らの要素を少しずつ持つ人はたくさんいて、「意味」と向き合っているんだろうな。
2009/10/05
seer78
現代とは思えない口調で話す登場人物たちと、相当深刻かつ滑稽な「罪」と「罰」、「赦し」の議論の応酬。独特の文体に親しめるかによって読者を選ぶ小説。僕は、『ゼロの王国』でこの作家を知ったけど、この作品も楽しめた。ただ、宗教的な語彙があまりに頻繁にでてくるのが、時々ウンザリする。そういう言葉をつかわなくても、当の問題を考えることはできるのではないか・・・これはないものねだり。
2010/03/23
ooo
入ったことのない、水のなかに入ったみたい。堅いのに軽快で、じぶんのなかに存在しない種類の哲学がじわじわ染みこんでくるかんじが、読んでいてきもちよかったです。
2010/02/16
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