荻窪 シェアハウス小助川
荻窪 シェアハウス小助川 / 感想・レビュー
ひめありす@灯れ松明の火
小路さんは変に尖ったり毒を含ませたり、奇想天外を狙ったりするよりも、こういう風に純度100%の優しさだけで作られた小説を書いた方がいいと思う。そんなことを改めて感じる一冊。優しすぎて、それ故に繊細で傷つきやすく、自立できない若者達と、それを少しだけ助ける初老の医師の一つ屋根の下物語。活劇というには冒険はたらないし、ドラマというほどに劇的ではないけれど、居心地の良い日常のまさしくストーリィでした。女性の部屋に男性は立ち入らず。ただし悪名高きイニシャルGが出てきたときだけ~、というルールがとってもおもしろい。
2012/06/04
七色一味
読破。結構私の中では当たり外れのある作家さんという印象が強い小路幸也さんの、これは当たりな作品です。登場人物の絞り込み具合、ちょっとした変化球的なシェアハウス小助川の舞台設定、パタパタと気持ちがいい程のラストの畳み方と、ドラマ向きな要素が満点です。まぁ、取り方によっては、ご都合主義なラストと取られるラストですが、それまで長い間滞っていた流れが、ほんの些細なきっかけで一気に流れ出す、そんなことがままあるだけに、こういう畳み方も、私的にはありかな、と。とにかく気持ちの良い作品、オススメです。
2012/09/15
ドナルド@灯れ松明の火
アパートもの?3作目(木暮荘・花桃実桃に続く)である。小路節全開で、一気に読み終えた。佳人の性格設定がいい。小助川さんちのシェアハウスで生活を始めた6人のキャラがまたいい。管理会社の奈津子さんや恵美里のプチ秘密がなかなか面白い。ずーっと続いてほしい話だったがうま~くエンディングに持っていき、しかもこの先が輝いているような終わり方はうまいし良かった。
2012/08/13
紫 綺
相変わらず、小路さんの話は穏やかだ。タカ先生の言動が、57歳にしては少々説教臭いのが気になった。そこまで偉そうに言えるほどの歳でもなかろうに…。文中の「いい思い出は、生きる力になる」が印象に残った。
2012/05/19
あつひめ
小路さんの作品を読むと、どこかに自分と似たような性格の人物は居ないか…とキョロキョロしてしまう。小路さんが描く世界は、人と人の繋がりが何層にも重なって、とても居心地よく感じる。人は心の中に一物の不安を抱えていてもなかなか口にはしないもの。生きづらい今の時代、他人と暮らすことで自分の知らない一面を知るのもいいのかもな。小路さんの気配りがいっぱいのシェアハウス。ほんとにあったら、きっといろんな人がそこで心を癒して卒業していくかもな。其々が何かしら見つけることが出来るのは、自分自身と向き合えた証だと思うし。
2014/10/21
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