切羽へ
切羽へ / 感想・レビュー
kaizen@名古屋de朝活読書会
直木賞】主人公の養護教諭麻生セイ、夫の麻生陽介、ピアノを弾く月江先生、新しく来た音楽教師石和聡、時々来る「本土さん」。母が切羽近くで見つけたというマリア像。閉鎖的な島での出来事。東京が出て来て開放感を吹き込む。最後は木切れの十字架(クルス)。よくわからないところが文学的なのかもしれない。芥川賞ならもうすこし暗いのだろうか。
2014/03/21
ミカママ
えええ、こんな内容?!裏表紙やAmazonの内容紹介から、めくるめくような不倫・恋愛・官能小説を期待してたのに!誇大広告なんじゃ?いちばん落胆したのは、石和の、男性としての魅力どころか、人となりがちーっとも読み取れなかったところ。山田詠美さんは解説で、作者は書かれなかった言葉を大事にしている、と褒めたけれど、書かない言葉に意味あるの?(苦笑) 私には、こういう静かすぎる小説は合いませんでした。期待値大きかったがゆえに、返す返すも残念。
2014/08/06
うののささら
暇で穏やかに流れる島の日々。生徒より教師が多い学校は暇でやることないから恋も切羽という突き当たりまで突き進んでいく。暇な島民も島に伝わる民話のように他人のうわさを語り継いで行く。元から住む人以外、内地から来る人はなかなか定住できず入れ替わり、容易に忘れていくのは人生そのもの。相手を理解できないのに惹かれる男女の心理など文はさすがに上手く楽しく読めました。
2021/04/24
藤枝梅安
おそらくは九州の離島。小学校しかない小さな村の濃密な人間関係の中心として、「しずかさん」という老婆の存在感はあるが、その他の登場人物のことごとくが存在感が希薄で、「島」の空気の一部になっている。そこに「都会」あるいは「本土」から入ってくる住人達が小さな波紋を起こす。大きな事件が起こるわけでもなく、外からの人間が入ったために、小さな離島に暮らす閉塞感が増幅される様子が描かれている。「男性に惹かれていく」と帯にあるが、読んでいてそういう気がしなかった。昔読んだアメリカの小説、「マディソン郡の橋」を思い出した。
2015/11/30
chimako
幸せな新婚生活のはずなのに、何となくざわざわと不安になる。大丈夫、このまま穏やかな暮らしが続く、大丈夫…と自分に言い聞かせるような読書だった。南にある小さな島の学校。そこで養護教諭として働く麻生セイ。夫は絵描き。奔放な女教師 月江、新任の音楽教師 石和。月江は本土に愛人が居り、石和はとらえ所がなく危うい。3月に始まった物語は子どもたちの笑顔や行事をはさみながら翌年4月までを描く。時は淡々と流れ、温かいできごとで物語は終わる。切羽とはトンネル掘りの一番先。そこまで行かないとわからないこともある。大人の小説。
2018/10/22
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