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つやのよる

つやのよる

つやのよる

作家
井上荒野
出版社
新潮社
発売日
2010-04-01
ISBN
9784104731039
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つやのよる / 感想・レビュー

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あつひめ

ものすごく想像力をくすぐられる作品だった。本人の生の言葉が聞けない分、つやに関わった人間の言葉でつやを作り上げていく。映画になったと知り早速手に取ってみた。映画で出てくるような男たちを翻弄したつや。いったいあなたはどんな女だったのかと読みながら何度も口を突いて出た。病の床に臥せる中でつやは過去のオトコ遍歴を走馬灯のように思い浮かべただろうか。恋愛をした者なら、死を境にして終わる関係があることは理解している。でも、逆に死からまた始まってしまう恋もあるのかもしれない。つや・・・あなたは・・・幸せだったのか?

2013/02/21

ひめありす@灯れ松明の火

好きな人の、裸の胸に、抱き寄せられるのは、きっとこんな感じ。頬を当てた時にかおる皮脂と、煙草のざらりとした肌の手触り。その瞳には何が浮かぶのか、欲望か。愛情か。抱きしめられたら、顔が見えない。曖昧で、不確かな温度に顔を埋めて、臓器の音を聞く。何を思っている?何を企んでいる?皮膚のすぐ下を流れる血潮の匂いは、全くない。なのに、惹き付けられる。柔らかな肌に歯を立てて、噛み千切ってしまいたくなる。吐息が、耳たぶに、かかって。何かの始まりを想起させる、そわりとしたつやの物語。通う夜に、男と女は何の夢を見るのだろう

2013/02/14

けぴ

艶をとりまく七人の湿り気を帯びた人々の短編集。ジクゾーパズルを組み立てるような小説でした。山田麻千子の章が良かった。

2023/08/09

taiko

死の淵にいる艶という1人の女性と、それを取り巻く人たちの話。艶と、直接、間接的に関わった人たちのサイドストーリーがほとんどですが、それぞれが興味深く、惹き込まれました。最後の松生の章で、各章に少しずつ語られていた艶の逸話、艶という人の人となりが全て回収され、この物語は、松生が主人公の、艶への思いの話だったのかもと思わされます。そう思いながら、また前に戻って読むと、全ての章がしっくりきました。映画化されていたのですね。全然知りませんでした(苦笑)キャストも豪華で、そちらも興味ありです。

2016/10/30

Kumiko

艶に一切の共感ができず、どんな女性だったのか想像できず大変困った。どれだけ感情移入できるかが面白い本かどうかの要だとしたら、この本は正しく「否」だろう。でも、登場人物の語る出来事が全て過去形であったり、もう心の中で決着をつけたことが語られている事が、それぞれ波乱万丈なエピソードでありながら何となく安心して読め、そこはとても良かった。それだけに松生の章だけがリアルで生々しくて、嫌な男だな~、嫌な男が嫌な女に入れあげて、挙句因果応報のような結末を迎えてるんだな~とある種の感慨に。これも一つの愛の形なのかな?

2016/08/26

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