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ほろびぬ姫

ほろびぬ姫

ほろびぬ姫

作家
井上荒野
出版社
新潮社
発売日
2013-10-31
ISBN
9784104731046
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ほろびぬ姫 / 感想・レビュー

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めろんラブ 

「グヤグヤナンジヲイカニセン」と、自分亡き後の妻を虞美人になぞらえて慮る夫。さて、妻はどうする。作者の導く先にあるのは「ほろびぬ姫」だ。妻は無意識的に身につけたしたたかさで、読み手に愛の意味を問い質す。あなたもあなたも私にとっては「あなた」で、それのどこがおかしいのかと。井上作品は、何気ないふりを装って日常に潜む不信をあぶり出し、そこはかとない居心地の悪さを漂わせる。本作も油断していると横っ面をしたたか張られた後、襟首をつかまれて泥水に顔を突っ込まれる。それが快感だから、また読んでしまうのだけれど。

2017/02/19

風眠

項羽と虞美人の伝説がベースの物語と考えれば、このタイトルはうまいなと思う。読み始めは、とにかく「あなた」でグルグル。一体どっちのあなたですか、あなたあなたあなた・・・って感じで。主人公のみさきは、男が守ってやらないと生きていけない女として登場する。不治の病で死にゆく夫がそんな妻を案じて、双子の弟を自分の身代わりにしようとする。みさきに対する倒錯的な愛、四面楚歌の状態だったのは、はたして夫か弟か。「虞よ虞よ汝を如何にせん」なんて無用な心配。頭悪いふりして、女のほうがずっとしたたかで、切り替えも早いのだから。

2014/02/26

らむり

感想が難しいのだけど、じと〜っとしてて、じわ〜っとくる感じ。

2013/12/04

むぎじる

生きている間も、死んでしまってからも、囚われてしまう。君は何もできないから・・・その一言は、甘だるく、みさきの心も体もからめとる。呪文をかけ続けた”あなた”は、こういう形でしか彼女を愛せなかったのだろうか。ひきずられ、流されていく簡単さが怖かった。

2014/08/17

itica

妻が、愛する夫を呼ぶ「あなた」と他人同然の双子の弟に呼び掛ける「あなた」をわざと混同させる。意味合いの違う「あなた」を巧みに使い分け、移りゆく3人の心の変化をうまく表現しているように思う。死期が迫り、残される若い妻を憂いる夫が仕掛けたある計画。果たして夫の思惑通りことが運ぶのか。死が前提にあるだけに、どうしても重たく息苦しい雰囲気をまとってしまうが、そのくせ吸い寄せられるように先が読みたくなる。多分読む人の年齢によって受ける印象は違うと思うが、文章のうまさが際立つ物語である。

2013/11/29

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