虚空の冠 上
虚空の冠 上 / 感想・レビュー
藤枝梅安
「骨の記憶」で、戦後混乱期の庶民の苦悩と「成り上がり」を描いた筆者が今度はメディア産業の上層部を描く。東大法学部卒の渋沢は敗戦後、新聞記者となり、離島の火事の取材に赴く途中海難事故に遭遇、事故を封印するため、自らも唯一の生き残りであることを封印。見返りとして、政治の中枢に食い込んでいく。アメリカ視察旅行に抜擢され、名家の令嬢と婚約。ラジオ・テレビ局の立ち上げに参画する。名称は架空だが、なんだかY新聞のW会長のことかなぁ、と思いつつ読み進める。新聞社の伝書鳩係の少年との不思議な縁が今後の展開の鍵になりそう。
2012/02/09
Kaz
終戦直後の日本を舞台に活躍する若き敏腕記者と、ネットにプラットフォームを構築し活字メディアの支配を目論むIT企業のビジネスパーソン。時代を行きつ戻りつしながら、少しづつ2人が絡んでゆく展開にワクワクしてきたところで上巻読了。
2019/04/14
ゆみねこ
戦後メディア史を読み説くようなストーリー展開で面白い。新聞・ラジオ・テレビを牛耳る渋沢大将が携帯端末から電子書籍参入を模索する新原亮輔とどのように関わっていくのか?下巻にこのまま行きましょう。
2012/03/07
まつうら
終戦直後に、一介の記者から始まった渋沢がメディア王となっていく物語だが、このサクセスストーリーよりも、電子出版の覇権を争って新原と駆け引きするところの方がおもしろい。メディアコングロマリットと、新興のIT通信事業者の対決だ! 普通に考えると、コンテンツを握っているメディアの方が強そうだが、そのコンテンツを消費者まで届けるための通信と端末を握っているのはIT企業のほう。(下巻に続く)
Syo
こりゃまた凄い
2022/08/17
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