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まぼろし

まぼろし

まぼろし

作家
生田紗代
出版社
新潮社
発売日
2005-07-21
ISBN
9784104775019
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まぼろし / 感想・レビュー

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これはまずい。引っ張られる。埋もれてしまう。見ないよう触れないようにしているものたちが騒ぎ始める。漂う気怠さ。ここに居るのに居ない感覚。これらが無くなって清々しい自分になれたら楽だろうが、別にもう救いなんか望まない。ただ、この気怠さや無力感に気づいて、寄り添ってほしい時があるだけ。疲れ切った心に何気無い時間をそそいでいく「十八階ビジョン」母を許せない自分を傷付け、現実と自分が分離していく「まぼろし」二編。ずっと何処かで思っていた漠然とした何かを言葉で表現されて、どうしていいかわからない。混乱している。

2015/02/25

びすけっと

2005年7月刊。初出 新潮。お気に入りさんつながり。読み手の心模様一つで決まってしまうのかもしれませんが、暗いくらい作品でした。人間誰しも暗部を持っていますが、それを表現されると頷ける時もあれば、だめだあと感じてしまう時もある。父母が中国旅行に行っている間の「十八階ビジョン」がまだ未来があるかな。この時とばかりに冷凍食品で過ごす姉妹が楽しそうでは無いところがおかしかったです。 この作品、うきうきしている時に再会できますように。

2015/02/17

ららぴぴ

表題作は会いに来なかった母の事を理屈を超えて理解している娘の描写がなんだか印象深かった。「十八階ビジョン」の一時的な姉妹だけの生活っておもしろそう。終わり方が唐突だったのが少し残念。

2016/07/22

すきま風

何てことのない日常を、こういう風に描ける作家が好きだ。初期の島本理生さん、飛鳥井千砂さんや宮下奈都さんあたりか。生田さんは何作か読んできたが、かなり自分好み。劇的な事は何にも起こらない。家庭の中の問題であるとか、会社や家族の中で起こる側から見ればなんてことのない小さな出来事を、だけど鮮やかに描く作家だと思う。「十八階ビジョン」の主人公が会社を辞めるきっかけになったと思われる、ある日の朝の出来事と思いが衝撃を受けるほどはっとさせられた。私はこれで辞めるには至らないだろうが、物凄く分かる!と思ってしまった。

2015/02/15

チューリップ

内容的には暗いけどそこまで突き落とされる感じはしないので読みやすかった。十八階ビジョンとかこのままではダメだと思う主人公に何とかなるんじゃないとさらりと言う妹が良かった。表題作は母親と娘の微妙な関係の話。主人公は母親に対してずっとやりきれない思いをするんだろうけど距離を取れているし大丈夫な気がする。読んでいて凄い分かるなあと思ってしまった。子供は心の中で母親を殺すんだっていう大学講義の内容とか印象的だった。

2016/11/07

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