なごり歌
なごり歌 / 感想・レビュー
kishikan
小説新潮連載の7つの関連した短編集。読者層を意識してか、70年代(昭和40年代後半)の話で、多分50歳以上には、しみじみ過去を振り返ることができるだろうな。場面設定も、虹ヶ本という東京郊外の大規模団地(5階建てエレベーター無し)、そうあの時代、団地は都市文明の象徴のように思われてたよね。霊の話や雷獣なんかが出てきて、でもオカルト的な話でもなく、朱川色が良く出たノスタルジックな大人のファンタジー。各編毎に、懐かしい「歌」がキイとなって、ああ夢中になって聞いてたなと思い出に浸れる。朱川さんらしさが溢れた本。
2013/09/28
utinopoti27
過ぎ去った遠い日々、70年代の東京。本作は、埼玉との県境に建ち並ぶ団地群を舞台に、7つの短編で綴るノルスタジックな人間模様だ。いつもどこかで見守ってくれた友だち、今は亡き妻、不思議な存在感を放っていた従妹のマリア。失われた誰かを強く想う時、そこでは何かが起きる・・。「全部ゆっくりでいいんですよ」歩くほどのスピードで模型飛行機を飛ばす老人の話『ゆうらり飛行機』がいい。世相を流れる流行歌に乗せ、人の業を浮き彫りにする「想い」が仄見える。ちょっぴりミステリ風の味付けも心憎い、朱川ワールドの真骨頂ここにあり。
2019/05/08
takaC
超常現象と世俗事件を同列に扱うというのはどうなんでしょうね。ある種危険な試みだという気もしなくはないが、全部ひっくるめて昭和時代の話ということでとりあえず納得かな。
2014/12/15
紫 綺
『かたみ歌』の続編。文中の言葉を使うと、「ノンスメル」のような建物が建ち並ぶ巨大団地を舞台にした七つの短編。70年代のノスタルジーを散りばめた朱川さんの珠玉作。どれも優しい。
2013/09/07
irodori
『かたみ歌』に続く、団地を舞台にしたお話です。少しノスタルジックで、悲しくて、でも暖かい気持ちにさせてくれます。外観は同じ様相の団地でも、一部屋ごとに人々が異なった生活を営み、悩みや苦しみ、楽しみを抱えてるんだな。団地は全く馴染みないのに不思議と懐かしく感じました。
2014/05/12
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