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叶えられた祈り

叶えられた祈り

叶えられた祈り

作家
トルーマン・カポーティ
Truman Capote
川本三郎
出版社
新潮社
発売日
1999-12-01
ISBN
9784105014056
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叶えられた祈り / 感想・レビュー

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ケロリーヌ@ベルばら同盟

親を知らず、自分の生まれた日すら知らない若者は、私たちの惑星の中心に出かけて行った。美貌と野心、少々の文才を武器に、ウラニウムと金とルビーを探し、同じものを探しているものたちを見た。政財界の大物、銀幕のスター、文壇の寵児…。絢爛たるビッグネームが紫煙と酒精と人工の花の香りの彼方に揺らぐ。決して満たされる事なき虚ろを抱えた豪奢な容れ物が乱立する摩天楼の密林で、探求の旅に疲弊し、顧みれば、もう若くもない負け犬が一匹。彼は八歳の哲学者にむけて手紙を綴る…。未完に終わった連作集。巻頭の一編の美しさ、寂しさに瞠目。

2023/03/24

秋津

痛々しくて哀しい。けれど滑稽なところもある。 デビュー当時からは遠いところに来てしまった遺作なのかもしれないけれど傷ついた無垢な心がここにもあると思う。 サリンジャーのくだりは、面白かった。

2018/03/12

しあん

大好きなカポーティの未完の遺作。スキャンダラスな部分よりもむしろ、文章に常に湛えられた静謐な感じや、冒頭で主人公が新聞で見た「怪獣を見たい」という少女の願いに、一人呟くように彼女がそれを知らないまま田舎で平穏に暮らすことを願う、その悲しさがしみいるのです。

2013/03/31

コウ

カポーティの遺作。冒頭の8歳の女の子の作文だけで、この作品は胸がいっぱいになってしまう。「もしできるなら、私は私たちの惑星、地球の中心に行って、ウラニウムやルビーや金を探したいです。私は、まだ汚れていない怪獣を探したいです。それから私は田舎にも行きたいです。フロリー・ロトンド。8歳」 フロリー、きみを抱きしめてクルクル回りたいよ。P.B、イノセンスを失ってしまったきみは、いったい何処に行こうとしていたんだい?(けれど、きみはいつまでもそれに拘っていたよね?)★★★★☆

2008/07/01

tomo*tin

なにかが足らなくてかなしいのか、それとも、ありすぎて溢れ出したものが切ないのか。過不足な感情や事情が人を蝕んでゆく。わたしも、できるものなら、まだ汚れていない怪獣に会いたいです。カポーティ、未完の遺作。

2008/10/30

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