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ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短篇集

ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短篇集

ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短篇集

作家
トルーマン・カポーティ
小川高義
出版社
新潮社
発売日
2019-02-27
ISBN
9784105014087
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ここから世界が始まる: トルーマン・カポーティ初期短篇集 / 感想・レビュー

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ケイ

カポーティ10代の未発表作品。訳者の努力が付加価値を付けた珠玉の短編集。『ミス・ベル・ランキン』老女の描写に目頭が熱くなる。『別れる道』最後の握手に嘆息。『これはジェイミーに』犬と女性を通じてのジェイミーへの憧憬~彼は笑って振り向き ミス・ジェリーの方へ駆け出した 思いきり走っていたら ふと若い木の枝になって風にしなっている気がした 『西行車線』...ひとりが窓に寄ってブラインドをあげた かくして太陽が迎えられ、どっと流れ込んできた。 数頁分の村上春樹と訳者後書きで十分。アメリカ人二人の文章は余計かな。

2019/04/25

キジネコ

分裂した世界・対立する文化の申し子と呼ばれた彼の足元、屹立する分水嶺に吹く風は厳しく冷たかったことでしょう。それは稀有な才能の高み、遮るもののない境地を与えられた者の宿命なのでしょうね、きっと。生涯通して答えの見つからない問いに憂悶する早熟な天才の声が作品を通して聞こえてきます。曰く日記として書き留めていた日常身辺雑記が最も面白かった、公表を前提にすれば文章はフィクションになる…と述懐した作家。彼が見つめ続けたフィクションではない現実を観察する少年の戸惑いを読者は目撃します。拙いけど、でも凄く良く響く。

2022/09/11

りつこ

カポーティ20代の頃の習作集ということで、全体的に物足りない?という感じも否めないが、原石を見せてもらった感の方が強くて、こういう作品を出版してもらえるのはファンにはありがたい。こんな風に物語が次々湧き出てきて書かずにはいられない人だったのだなぁと感じたし、唐突に終わったように感じた作品が後になって絵が浮かんできたり記憶に残っていたりして、やはりすごい物語力だな、と思う。

2019/04/17

yumiha

カポーティ作品は、切なさという余韻がいつも残る。心の奥底に他者と折り合えないものがあったからだろう。さて、本書はそんなカポーティが十代で書いた14篇をまとめた短篇集。10ページ前後のほんの短い作品ばかりなのだが、まぎれもなくカポーティだった。たとえば「火中の蛾」のエムの「寂しく生まれついたのだ」という諦観など、カポーティ自身が自分にそう言い聞かせて寂しく笑う姿が見えるようだ。

2023/02/26

livre_film2020

カポーティ初読。さらさら読める短編集。幻想的でありつつ少しホラー。人間の揺れ動く感情をよく表している。例えば、恋愛感情、嫉妬、生への固執、懐古主義など。サリンジャーよりは格式高いような印象を受けたが、これを10代から20代にかけて書いたとは。村上春樹が天才と称するのも納得。習作なため、話が突然終わることが多々あるが、それが余韻となってよい雰囲気を醸し出している。『ティファニーで朝食を』は映画を観たことがあるが、好きになれなかった。しかし、原作は違うらしいのでぜひ読んでみたい。他の傑作も手に取ろうと思う。

2022/10/15

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