トガニ: 幼き瞳の告発
トガニ: 幼き瞳の告発 / 感想・レビュー
二戸・カルピンチョ
霧が、悪意を象徴する霧が、ずっと物語に立ち込めていて、私は目を凝らし何度も進む方向を確かめながら道を進んだ。手を四方に動かしながら、正義の登場人物の心に触れて確かめたかった。この物語の中では結べなかった正義の結末が、この小説の発する力によって、どうにか納得できる法案として現実世界で可決されたことに、口を真一文字にして微かに頷く。今年読んだ本で一番。
2018/10/07
ニコン
「霧はすべての人と人の間に入り込み、至近距離にいてもたがいを遮断してしまう。」そんな霧が多い町が舞台の小説。霧のように重い雰囲気が漂う。実在した話を小説化したものである。涙した。衝撃を受けた。
2012/07/15
みんと
時、場所を問わず、弱者は権力に抗うすべも知らずに理不尽な扱いを受ける。 日本でも、ここまで酷くはないが老人介護施設や障害者施設での虐待のニュースなどを目にすると辛い気持ちになるが、このようなことがいつまで経っても無くならならないことに怒りを覚える。 ここでの主人公のカン・インホのような勇気ある人が増えればとも思うが、誰にも守らなくてはならない家庭や生活があり、それを壊してしまうかもしれないリスクを背負ってまで闘うのは難しいのだろうか。
2013/03/09
くらっち
読みたい本消化、3冊目。ひたすら辛い。 こんな現実があっていいのか。やるせない気持ちになる。 そして同時に自分の中の弱さに気付く。 このひどすぎる現実を目にした時、果たして私は逃げることなく立ち向かっていけるのだろうか。 こんなひどいことがもう二度と起こらないで欲しいと強く願う。
2013/04/17
小音
韓国の作家さんの本は初めてでしたが、蓮池薫さんの訳も良いのでしょうが、文章も良かったです。厳しい環境の中での二人の主要登場人物の人生観の変化がとても読み応えがありました。弱者への虐待という暗い内容だけでない物語になっていて読んで良かったです。
2012/07/15
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