ナボコフ・コレクション ロリータ 魅惑者
ナボコフ・コレクション ロリータ 魅惑者 / 感想・レビュー
踊る猫
ここに居るロリータは「ハンバート・ハンバートの目を通した」ロリータだ。だから、私たちは彼の饒舌で明晰な語りを通して彼があたかも「創造」するというか「現前」させるロリータに付き合うこととなる。その意味ではこの作品を読むことはどうしたって彼の掌の上で踊らされることを意味するのであって、そこから「性的搾取」や「反フェミニズム」を読み取るためにはかなりやっかいな手続きを踏まなければならない。「(本人も含めた)誰の目も通さない『透明』なロリータ」なる存在がありうるかどうかという実に手強い問いとぶつかるという手続きだ
2023/04/28
MATHILDA&LEON
【英ガーディアン紙が選ぶ必読小説64/1000】一般的に見れば変態的だが、ある意味真っ直ぐな愛で持って、ロリータのそばで生きる男。ただ、これを是として読むことは出来なかった。それでも結局読み終えられたのは、物語の面白さから来るものであったし、見届けたいと思えたからだ。主人公に対しては好感は持てなかったが、実に人間臭くて印象的。ロリータがその後、幸せになれたかが気になるところ。
2020/04/01
北風
美しい文章、回りくどい物語。ロリータは12歳。しかしながら、十二歳と二十歳の夫婦の話とか年の差婚が題材の作品その他多々あるので、そこまでの変態感はなかった。同性愛とかあんなに差別されていたし。禁忌が甘美であり少女はいつの時代も特別視される。同時はセンセーショナル? どちらかというとロリータの内情を知りたかったかな。女子中学生が男の先生に恋する少女漫画もあるし。変態おじさんの中身は、無垢の博物館で嫌ってほど見せられたから、むしろハンバートはおとなしいくらいだったよ。
2024/09/12
井蛙
『ロリータ』はまた読むので『魅惑者』だけ。とある少女に一目惚れした中年の主人公は、彼女の母親である余命幾ばくもない未亡人と結婚する。面白いのはこの結婚が死に損ないの母親の色気と娘への嫉妬心に火をつけるということで、主人公の奸智が逆説的にも彼女に最後の生を与えたような具合なのである。実際には主人公が妻の死を具体的に思い描き始めるや、彼女は本当に死んでしまう。こうしたパロディが現実に先行するという構造がこの作品には散見される。分かりやすい例は、主人公が実際に逮捕される(であろう)前に、誤認逮捕されかける箇所。
2020/02/18
warimachi
これだけ言葉が上手いと、書いてて楽しかったんだか苦しかったんだかって感じだなあ。
2020/03/14
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