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かもめのジョナサン完成版

かもめのジョナサン完成版

かもめのジョナサン完成版

作家
リチャード・バック
Richard Bach
Russell Munson
五木寛之
出版社
新潮社
発売日
2014-06-30
ISBN
9784105058050
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かもめのジョナサン完成版 / 感想・レビュー

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のっち♬

ひたすら純粋に飛ぶことの喜びを追求した結果群れから追放されたかもめのジョナサンをめぐる物語。それは精神世界における一つの境地に達するもので、周囲の崇拝を生むことになるのだが、彼が去ると偶像化に拍車がかかっていく。「噂というやつは、誰かを悪魔にしちまうか神様にまつりあげてしまうかのどちらかだ」とあるように、ここでは目的と手段の逆転により思想が廃れて形骸化する信仰のジレンマを映し出している。一人が自由を求めてはじまった物語が世界の自由の扼殺に着地するのだ。「おとぎ話が進む」現状への警告と希望が込められた寓話。

2021/07/03

新地学@児童書病発動中

文庫版の『かもめのジョナサン』は大好きで、一時期繰り返し読んでいた。完成版には新たな章が付け加えられて、深みと苦みが増していると思う。私にとってこの作品の一番の魅力は、ジョナサンが空を飛ぶときの興奮と喜びが、生き生きと描かれていることだ。ジョナサンと一体となって実際に空を飛んでいる気持ちになるのだ。空を飛ぶ描写が真に迫っているのは作者のパックが飛行機乗りだったからだろう。作者の主張が強く前に出てくる箇所は印象に残らないが、生きることは喜びであると言うメッセージには深く共感する。

2015/06/28

Hideto-S@仮想書店 月舟書房

「これから自由について学ぶために、毎日3時間『自由マニュアル』をお勉強します。ではマニュアルの386頁を開いて下さい……」。40年の時を経て“幻の第4章”を加えた『完成版』が出版された背景を推測すると、こんな感じだったのかも知れない。想像力の翼を広げて何物からも自由であろうとしたかもめの物語。『完成版』最終章では、孤高の存在だったジョナサンは『カリスマ』となり『教祖』に祀り上げられ、再び自由を取り戻すための挑戦を始める。自由の象徴が人々の行動を規定する教義となる皮肉。ファンタジーは現代的な物語となった。

2015/12/02

Mumiu

昔父が買った1974年版を読んだ時、今の1/3も生きていなかったわたしはどう感じたんだろう。懐かしみを感じながらどう完成したかを見たくて手に取った。そして永らくの時を経てわたしはどこへ行こう?こうして過ごしている時間に無駄なモノなんてない、そう思っているけれど、こうありたい自分になるためにちゃんと与えられた時間を使いたい。たまにはそんなことを考えるのもいい、そんな気分になる。みんなはどんな風に感じるんだろう?

2015/10/24

アナーキー靴下

鵜飼いゲーム『サイテイバード』の4号は何故かカモメ。そこから長いことこの本に抱いていたイメージとは当然違い、リバタリアニズムをカモメにのせて描いたような寓話であった。自由を何より尊び、善悪の羅針盤さえ持たず、己の道を突き進むジョナサン。私がカモメなら、飛ぶことより美味い餌の追求にいそしむと思うが、ジョナサンは私を受け入れてくれるだろうか。翼を引きずるメイナードが一瞬の後に飛び上がったことからも、大切なのは心の翼であって、何を追い求めるかは自由なはずだ。飼いならされた鵜として漁に繰り出す4号も然りである。

2022/07/04

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