菊とポケモン: グローバル化する日本の文化力
菊とポケモン: グローバル化する日本の文化力 / 感想・レビュー
KAZOO
アメリカの社会論あるいは文化論です。「菊と刀」からこの題名を日本で売れると思いつけたのでしょうが、原題は「Millennial MOnsters」ということでなぜポケモンやたまごっちなど日本発のB級玩具がもてはやされているのかを解明した本です。日本語の題名が少し、という感じはありますが内容的には結構面白い観点での分析だと思いました。
2016/10/02
サイバーパンツ
日本のポップカルチャーはなぜ、他の文化の境界を越え得たのか?それを、アトムやゴジラなどの作品から日本文化に根付くテクノ-アニミズムを証明した上で、『パワーレンジャー』、『セーラームーン』、『たまごっち』、『ポケモン』など子供向けのプロパティをメインに扱って分析していく。ポストモダン時代が抱える「不安感」を『ポケモン』をはじめとした人間を超越した愛着の対象は埋めているために、それら日本のポップカルチャーは日米ともに爆発的人気に至ったということから、日本文化におけるテクノ-アニミズムの重要さを痛感した。
2016/05/17
きんぎょっち
タイトルが秀逸。著者本人はこの日本版タイトルにショックを受けたらしいが、キャッチーでとてもいい(笑) なにより、著者の考えの根本が「なぜ他国をアメリカナイズしてきたアメリカの支配力が、現代ではきかなくなってきたのか」であり、文化後進国である日本のアニメやゲームに自国の子どもたちが影響される事に強い不安を感じ、「アメリカの子どもたちが骨抜きにされてしまう」という危機感から本書を書いている点において、ルース・ベネディクトの「菊と刀」と同じゾーンの本だと思う。
2018/04/15
13km
アメリカは日本のコンテンツを本国で扱うときには、利益のことしか考えていないということが強調されてるように書かれていたが、いざ日本のコンテンツが人気がでると日本文化が認められたわけではなく、コンテンツそのものの普遍性や自分たちのマーケティングで人気がでたと思いたがっているように感じた。日本のコンテンツのせいでアメリカの持つ価値観や文化など変わることを本気で恐れている人たちがいるのはインディアンを虐殺して文化侵略をしたことにたいしての負い目が無意識的にあるからなのか。
2013/06/24
茶幸才斎
日本で成功したスーパー戦隊、セーラームーン、たまごっち、そしてポケモンが、世界のポップカルチャーを牽引するアメリカにおいて「クール・ジャパン」の名の下に流行した背景についての論考。分解と再構築、多様な変身・変形、現実と仮想世界の往来など、いろいろポストモダーンな感じの考察がされている。個人的には、米国でそれらが売れた理由は、単に子供相手の商品開発に対する姿勢の問題のような気がする。米国人は、子供を人間に成る以前の未熟な生き物としか見ておらず、彼らの興味や関心に真面目に向き合っていないだけじゃないかと思う。
2010/12/07
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