バット・ビューティフル
バット・ビューティフル / 感想・レビュー
どんぐり
ジャズ・ミュージシャン列伝。本書に取り上げられているのは、レスター・ヤング、セロニアス・モンク、バド・パウエル、ベン・ウェブスター、チャールズ・ミンガス、チェト・ベイカー、アート・ペパーの面々。みなすぐれたジャズ奏者だが、なぜか麻薬漬けで、アル中で、刑務所のお世話になっていたりする。それでも、美しい(バット・ビューティフル)音楽を奏でるのだから奇才というしかない。著者のジェフ・ダイラーの文章は、訳者の村上春樹に言わせれば、「想像力を自由に働かせ、そこから生きた情景を立体的に立ち上げていく」描写が際立つ。→
2023/04/10
jahmatsu
全く期待せずにパラパラ読み出したら、これが面白い。登場する王道ジャズメンを久々に聴きながら、いいリズム感の展開。ミュージシャン伝記のエディット版とでもいった感じでしょうか? 春樹氏も翻訳でイイ仕事してる。ほぼ皆さんこれでもかと、お酒とお薬はもりもりマストで笑、そしてバド・パウエルで泣く。
2019/05/17
抹茶モナカ
ジャズ関連本なので、読んでみた。不思議な本だ。評伝でも、伝記でもない。ジャズ・ジャイアントについて、逸話にあれこれ肉付けして短編小説みたいになっている。その後に、かなり重厚なあとがき付き。ジャズ・ジャイアントについて、まだ不勉強なので、どの逸話がどれだけ有名か、判別できない自分がもどかしい。翻訳者の村上春樹さんは、読むのを止められなかったようだけど、一度、途中から違う本を読んだので、やはり、ジャズへの思いで、この本の読み方も変わるのかもしれない。本文は読みやすくて、乗りやすい文体になっている。
2019/03/07
風眠
最近のジャズミュージシャンにはこういう武勇伝とか逸話は無いなぁ、確かに。真面目だし、きっちり練習するし、お酒も煙草もやらない、もちろん薬もやらない、女遊びもしない。だから往年のジャズミュージシャンの暴れん坊ぶりを読むと、そうそうミュージシャンはこうでなくちゃね、なんて思ったりする。はちゃめちゃな彼らは傍目にはとても魅力的だが、近くにいた人達は大変だったろうな…とも思う。村上春樹氏のおしゃれな訳が、破天荒で暴れん坊なミュージシャン達をいっそう魅力的にしている。ジャズ好きも、そうでない人にも、お勧めしたい本。
2012/03/29
タカラ~ム
#はじめての海外文学 vol.4で翻訳家の金原瑞人さんが推薦している作品。ジャズ愛好家として知られる村上春樹が翻訳を手掛けている。数々のジャズプレイヤーに関するエピソードを並べ、その間をデューク・エリントンとハリー・カーネイが演奏旅行のために車で移動するエピソードがつなぐ構成になっている。個々のエピソードは事実であるが、事実をそのまま描くのではなくアレンジが加えられているため、物語性が高い。その分読みやすくなっていると感じた。ジャズに疎い私でも楽しめたので、興味をもたせる入口となる一冊ではないかと思う。
2019/07/25
感想・レビューをもっと見る