民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道
民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道 / 感想・レビュー
molysk
民主主義はどのように崩壊するのか?選挙で選ばれた指導者によって、民主主義が死を迎えることもあるのだ。うわべは民主主義の制度を守ったまま、議会、裁判所、メディアは骨抜きにされて、独裁政権へと移行する。近年までのアメリカで、大衆扇動家による権力の掌握を阻んできたのは、成文化された合衆国憲法ではなく、「寛容」と「自制」という政治家の規範であった。この「柔らかいガードレール」が弱まりつつあるアメリカは、極端な二極化が加速している。いかにして社会の分裂を乗り越え、崩壊を避けるのか。民主主義の行方を占うヒントになる。
2021/04/25
香菜子(かなこ・Kanako)
民主主義の死に方:二極化する政治が招く独裁への道。スティーブン・レビツキー先生とダニエル・ジブラット先生の著書。世界中で民主主義が崩壊に向かっている。大衆迎合主義者や極端な過激派勢力が権力を手中にすると、合法的な独裁化で民主主義が危機にさらされる。アメリカのトランプ大統領のようなタイプの政治家が世界中で生まれている事実。民主主義を守って、独裁政治を防ぐには、きちんと選挙に行くこと。
2019/08/15
けんとまん1007
今の時代に生きる人の必読書。まさに、今の時代を知るには最適の1冊。さらには、ここで述べられていることは、政治の世界に留まらないということでもある。民主主義の根底にあるものは、わずらわしさ・手間がかかるということ。そこを避けて通ると、今のようになってしまう。直近の一部のことだけを考えるということ。それが、長い眼でみると、自分たちへのしっぺ返しになってしまうということを、肝に銘じておきたい。
2019/03/17
おさむ
丁度読んでいた時に朝日新聞の社説で本著が取り上げられていた。題名は過激だが、世界がそうした状況にある厳しい現実を私たちは自覚しなくてはならない。米国ではトランプよりも前に憲法を軽視する独裁者が何度も生まれかけた。民主主義は時にポピュリズムに陥るからだ。それを食いとどめてきたのが、政党による相互的寛容と自制心だった。この「柔らかいガードレール」が機能不全になっている事が全ての元凶だと説く。米国のみならず各国でも似たような状況が過去にも起きて、今もトルコやロシアなどで進行中だ。この日本もどうなるのか?
2019/01/06
34
民主主義の死に方にはパターンがあるということが、とくに南米からの例によって、よく理解できる。二極化という言葉が完全にあてはまる、特殊アメリカ的な事情についても、なるほどという感じ。共和党はどうしてあんな風になったのだろうとおもっているひとには、とくに推奨。物足りない点があるとすれば、経済への言及がほとんどないこと。たとえ完璧な制度が築けたとしても、民主主義への信頼にもとづく慣習(への敬意)がなければ、「法に違反しないかぎりなんでもする」というスタンスによって、民主主義は壊れうる。慣習はガードレールである。
2019/05/29
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