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孤独の発明

孤独の発明

孤独の発明

作家
ポール・オースター
Paul Auster
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
1991-04-01
ISBN
9784105217020
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孤独の発明 / 感想・レビュー

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どんぐり

「見えない人間の肖像」「記憶の書」の2部からなるオースターの文学修養から生まれた散文。ニューヨーク三部作につながる片鱗も見え隠れする。孤独の発明は、本を読むことと同義といっていい。「自分自身を見なくてもよいという意味の孤独、自分が他人に見られているのを見なくともよいという意味の孤独」。単行本はシュールな装丁、こういうのは好きだな。

2014/05/03

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「たとえ一人で、この部屋の底知れない孤独のなかにいても、自分は一人ではないのだという認識。もっと正確にいうなら、その孤独について語りはじめようとしたその瞬間、彼は単に彼自身である以上の何ものかになったのだ。」 「あらゆるものは ほかのあらゆるものとつながっている。 そしてもしあらゆるものがあるのなら、 その帰結としてあらゆる人間があるはずだ。」 父の遺品を整理しながら、遺物は持ち主をなくした幽霊なのだ、と思い巡らすシーンが美しい。オースターの独特な考え方や言葉が、じわじわ沁みこんでくる作品。大好きだ。

2015/07/29

sai

重い。不仲の父が死ぬ。死者は残った者ごとに全く違う人物として見えていた。敬愛できなかった父は従兄弟からは「こんないい人は居なかった。」従兄弟こそが真の息子だと感じる心。昔の家賃の不払いをやっと支払えることの歓びを伝える感謝の手紙を黙って持っていた人物…「俺の知らない男だ…」こう思わないだろうか。ふと思うのだ。あれほど可愛がってくれ、愛していた二人の祖父の若い時代もエピソードも自分は知らない。自分の周囲の愛する存在も自分の奥底は知らない。それぞれの心は孤独。垣根作品の「月は怒らない」を思い出す。孤独か…。

2014/08/20

ぽこにゃん

思索の書といった感じ。「見えない人間の肖像」は、亡くなったことをきっかけにして書きまとめる父の記憶によって、父自身を形作ろうとする作業のよう。その形を自身に嵌め込むために。「記憶の書」は、断片による記憶の旅。これらを考えること、書きつけることによって、著者は孤独を確保する。家族の中で、雑踏の中で、誰もいない部屋の中で、常に孤独を見つける。そして、書きつける。私には「記憶の書」のほうが、発見があっておもしろかった。まだ、うまく言葉にできないけれど、記憶のない、少ない人生がいかにうすっぺらいことかと思った。

2013/01/29

Megan

オースターの書く小説が、どんな経験や思想から出来上がるのか。なるほどなと思える作品でした。経験を韻ととらえる考え方が好きです。他の小説を読んでから、もう一度読みたい。

2012/09/29

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