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内面からの報告書

内面からの報告書

内面からの報告書

作家
ポール・オースター
柴田元幸
出版社
新潮社
発売日
2017-03-30
ISBN
9784105217198
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内面からの報告書 / 感想・レビュー

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どんぐり

今年翻訳出版された『冬の日誌』に次ぐ、オースターの回想録「内面からの報告書」。他に「脳天に二発」「タイムカプセル」「アルバム」の全4篇。いずれも前作と同様にオースターが「君」と自身に語りかけるもので、何者かになる前の心の軌跡を探るものだ。「内面からの報告書」は、子どもであった頃のオースターに「小さき人よ、君は何者だったのか? どうやって君は、考える力をもつ人間になったのか?」と12歳以前の自分に語りかけ、心の中を探っていく。「タイムカプセル」は、オースターが19~22歳の時に元妻のリディア・デイヴィス宛て

2017/06/13

キムチ

この本を選択したのは早計かと猛省。ポール=現代アメリカを代表する作家・・だから当然だろうが、理解し辛い。しかも、僅かしか作品も読んでいないのに無知も甚だしい私。標題から推し量り想定してはいたものの、非常に立体的かつ底が見えない。4部構成で成り立ち、1~冬の日誌と同じテイスト。だが時間軸は12歳までの君。2~脳天に二発とあり、日本人からするとその有する苦悩は理解を超えるかなと思った。縮んでいく自分と脱獄囚で追われる自分^理解しがたい立場ながら「生きている」ポールのあり方を暗喩している?3~語りは手紙構成・・

2017/05/26

ぐうぐう

前作『冬の日誌』が肉体の記憶を綴ったのに対し、本作『内面からの報告書』はタイトル通り、心の記憶を綴っている。とはいえ、かなりユニークな構成から本作は成り立っている。子供時代の内面の出来事を振り返る表題作、少年の頃に観た二本の映画を詳細に再現する「脳天に二発」、最初の妻に若い頃のオースターが宛てて書いた手紙を抜粋する「タイムカプセル」、そしてこれら三章を視覚的に補足する「アルバム」と、それぞれ趣向が凝らされた内容だ。(つづく)

2017/07/05

seacalf

少々面食らう構成。カレンとのダンスコンテスト、読書競争で先生から嘘つき呼ばわりされたことなど、印象的なエピソードが綴られた『内面からの報告書』は面白いが、少年期の彼に衝撃を与えた二本の映画の説明『脳天に二発』、元恋人に当てた手紙と解説『タイムカプセル』は非常に集中力を必要とする読書だった。前提として、自分はオースターのことを知りたいのではなく、彼の文章が読みたかったからだと思う。未訳の傑作を書く上で必要だった「助走」と位置づけられているが、それなら納得。驚くべき大作という『4321』の発売が待たれる。

2017/05/24

やいっち

自伝。が、オースターの自伝が並の本のわけがない。やんちゃな少年が書くことに目覚めていく。日記などに資料が失われた中、後の妻(その後離婚)に送った100を超える手紙の抜粋に基づいての語りも面白い。「脳天に二発」という章が抜群。『縮みゆく人間』と『仮面の米国』の二つの映画をオースターの言葉で話を追っていく。さすが読ませる。映画が見たくなったが、それ以上にオースターの語り口に魅了される。

2017/08/01

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