孤将
孤将 / 感想・レビュー
キムチ
帰国拉致被害者という冠を付けられた蓮池さんの翻訳作品。思いの外、サクッと読めたが、一人称という方式は私にあわなく、途中で挫挫けそう。韓国ではベストセラーになったそうだが、顔が似ている、隣国というだけで安直に「同じに」とは考えてはならぬと感じた。李舜臣が一人称で語りをする展開 内省の色彩濃く史実とは異なる箇所が多いとか。しかし、自国の英雄としてあがめられているだけに孤立無援の将軍として名を残すだけある。韓国映画やドラマと同じ匂いを感じたのは拷問、処刑・殺戮場面の多さ。そこも大きく社会の違いを感じさせられた。
2012/02/29
崩紫サロメ
KBS大河ドラマ『不滅の李舜臣』共同原作。訳者は拉致被害者の蓮池薫氏。李舜臣の晩年(ドラマの90話~)を扱う。壮大な叙事詩的なものではなく、死を見つめ死に向かう李舜臣の内面に焦点を掘り下げる。『乱中日記』の中で李舜臣はしばしば発熱・頭痛・発汗などの体調不良を記しているが、その痛みや流れ落ちる汗に李舜臣を苦しめる敵と王の存在を重ねる。敵と王の双方から命を狙われるという特殊な状況でありながら、生と死、精神と身体という普遍的な葛藤が描かれる。美しい原文を美しい日本語に訳して下さった蓮池さんに感謝する。
2021/06/12
サケ太
李舜臣の一人称で語られる死までの戦い。ドラマや映画の原作と聞いて読了。李舜臣の心情を深く描く。彼の前に立ちはだかる苦難の数々。壮絶な争いの結末。筆者による巻末の人物誌は、歴史小説に対する誠実さを感じさせる。だが、脇坂安治ほとんど出なかったなぁ(ドラマや映画と一緒にしないこと)。
2024/09/13
鐵太郎
主人公は、李舜臣という軍人です。日本語での読み:り・しゅんしん、朝鮮読み:イ・スンシン、ハングル表記で이순신。1545~1598。日本が豊臣秀吉の命で朝鮮侵攻したとき、最前線で戦った人。 李舜臣には、三つの敵があったそうです。日本軍と、朝鮮の王室と、明国。こんな中で、李舜臣と彼が育てた水軍は、何をよりどころにして、どう戦ったのか。この本は、やりきれない現実の中で苦闘し、将として兵士たちを率い、死に場所を探して戦った男を描いています。原題は、「刃の歌」。李舜臣の帯びる刀の泣き声です。
2010/06/12
ニコン
豊臣秀吉の朝鮮出兵を朝鮮半島側から見た小説です。韓国の国民的英雄である李舜臣が主人公。匂いを感じさせる描写が印象に残ります。
2013/07/15
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