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アルネの遺品 新潮クレスト・ブックス (Shinchosha CREST BOOKS)

アルネの遺品 新潮クレスト・ブックス (Shinchosha CREST BOOKS)

アルネの遺品 新潮クレスト・ブックス (Shinchosha CREST BOOKS)

作家
ジークフリート・レンツ
松永美穂
出版社
新潮社
発売日
2003-02-26
ISBN
9784105900342
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アルネの遺品 新潮クレスト・ブックス (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー

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遥かなる想い

北ドイツの港町ハンブルクを舞台に、15歳の 少年アルネの死の真実を語る。 一家心中で 一人だけ生き残ったアルネへの 想いが 全編に溢れ、心に染みる。 ハンスが アルネに語りかける言葉は とても静かで 心に痛い。 破局に向けて、ハンスの語りは 続くが …現在と過去を交錯させながら、用心深く その瞬間に向かう…ひどく 哀切で 静謐な 物語だった。

2019/07/28

新地学@児童書病発動中

一家心中により家族を失った少年アルネの物語。アルネは父の友人の家に引き取られるのだが、さらに過酷の運命が彼を待ち受けていた。簡潔ながら詩情をたっぷり含んだ文章が見事で、小説の文章はこうでなければと感じた。アルネの悲しそうな瞳、舞台となるハンブルクの街並み、沢山の船が行き来する港など何気ない描写が読み手の心に深く刻み込まれる。独の作家らしい内面的なストーリーの展開が印象的で、アルネは主人公の回想を通して描かれるので、詩的な陰影を帯びていた。繊細な心を持つ人間はこの世ではやはり生きにくいのだろうか。

2015/11/15

KAZOO

レンツの作品は昔短編を少し読んだことがあるだけで、長編は初めてでした。時代は現代で最近の学校などでのいじめを中心としたことなどが書かれています。どこの国でも同じような問題は起きているのでしょうね。私は読んでいてヘルマン・ヘッセの少年を中心とした物語を思い出しました。

2018/12/22

どんぐり

一家心中で両親と2人の姉を亡くし、一人生き残った少年アルネが父親と親交のあった一家に引き取られることになる。その3年後、彼の遺品を整理しながら語るハンスのアルネとの想い出の数々。子どもは仲間で集まると、時に裏切りや仲間外しを平気で行う。アルネの悲劇は、そんな子どもたちの無邪気で浅はかな行動によってもたらされる。一人沖に向かってボートで繰り出しこの世から消えていくアルネ。運命があらかじめ決まっているかのような、なんとも寂寥感の伴う物語である。

2019/12/02

NAO

無理心中した一家の中でただ一人生き残り、父の友人宅で暮らすことになったアルネ少年が、その家に来てから亡くなるまでが友人宅の長男ハンスの語りで描かれていく。そこからほのかな潮の香が漂ってきそうな、何ということのない港の風景。アルネの不幸になど斟酌せず、平気で仲間外れにしたりいじめたりするクラスメイト。静かな日常生活の中に垣間見られるあまりにも繊細で聡明なアルネの態度。ラストの、語り手である一家の長男ハンスが辛い気持ちでアルネの遺品を片付け終えたところにやって来た次男のラースが撮った行為がなんとも印象的だ。

2019/06/10

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