ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス)
ペット・サウンズ (新潮クレスト・ブックス) / 感想・レビュー
遥かなる想い
ビーチ・ボーイズ「ペット・サウンズ」にまつわる ブライアン・ウィルソンの人生を描いた ノンフィクションである。 アルバムが 音楽作品として、世の中に存在感を 持ち始めた 60年代の西海岸の風景が 清々しい。著者のビーチ・ボーイズへの 思い入れの深さと 村上春樹の解説が 心に残る…そんな作品だった。
2019/10/14
踊る猫
実に面白い。ジム・フジーリは泣く子も黙る不朽の名盤である『ペット・サウンズ』の魅力をさまざまな角度から解析する。歌詞を読み込み、コード進行を分析し、アンサンブルを解体し、人間模様についても鋭く切り込む。『ペット・サウンズ』は今でこそ泣く子も黙る傑作だが、同時にここまで哀しい事実(父親との不和、周囲の無理解、迫るプレッシャーなどなど)に彩られたつらい作品であることも生々しく伝わる。もちろんそんなつらい事情など知らずにただジンワリ来る『ペット・サウンズ』の魅力に触れればいいとは言える。聞いてから楽しむべき一冊
2022/12/06
Lily603
★★★★ ビーチボーイズと春樹さん。どちらも好きな自分としては前々から気になっていた1冊で、最近やっと読むことが出来た。訳者あとがきを読んで春樹さんはほんとにフィッツジェラルドとブライアン・ウィルソン(の音楽)が好きなんだなあ、としみじみ。"God only knows"でも聞きながらパラパラとページを捲りたくなる1冊です。
2013/02/28
おとん707
正直な話ビーチ・ボーイズも、ましてやそのアルバム「ペット・サウンズ」も聴いたことはなかった。偶々家にあったので手に取っただけ。辛い少年時代を過ごした著者が似たような境遇を持つビーチ・ボーイズの中心メンバー、ブライアン・ウィルソンに惹かれ、ブライアンの半生とそのアルバム「ペット・サウンズ」を評論したものだった。つまり聴いたこともないのに評論を先に読んだわけ。そして実際に聴いて驚いた。不思議なコード進行、伴奏から分離するメロディー、突然割り込む低音の強奏、曲ごとに違う奇抜な楽器編成…なんと斬新な!目から鱗だ。
2024/02/18
nizimasu
どうやら村上春樹さんが翻訳しているから随分、読んでいる人が多そうだが、今更ながら先日、ビーチボーイズのドキュメンタリーを見てブライアンウイルソンの圧倒的な不器用さとその奏でる美しい楽曲の数々に、俄然興味がわく。そのドキュメンタリーでも中心にあるのはペットサウンズのこと。それとブライアンの生涯を通して見えてくる作品への依存とそこからの希望が、誠実に描かれていると思う。しかもビーチボーイズを同時代のビートルズと比べ、今でも小切手を出せば、家で歌を歌ってくれると筆者が伝説になりきれない部分を嘆くのは同感
2014/10/15
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