いちばんここに似合う人 (Shinchosha CREST BOOKS)
いちばんここに似合う人 (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー
ケイ
作者は生きづらさを抱えてきたんだろうな。というか、こんなのは小説のなかだけよ!って言われたら、何でこんなの書けるのよ!とビックリするかも。不器用で、他人と協調する術を体得出来ず、相手の気持ちを勝手に決め込む厄介さ。寂しいのよね...、一番よくわかるのは、最初のお話。「ポジティブ」という雑誌と、そこで推奨されてる孤独の癒し方が泣き笑いを誘う。プールのコーチも良かった。16の短編のうち、10ページも満たない内容のお話たちの方がズコンときた。
2019/02/09
遥かなる想い
カンヌ映画祭新人賞監督による短編集である。 孤独で 不器用な人々の内面を 淡々と描く。 意外にも 映像的描写よりも、独白が多いのが 特徴なのだろうか? どこか痛んだ心の孤独が 印象的な短編集だった。
2020/09/11
どんぐり
2007年にフランク・オコナー国際短編賞を受賞した16篇。それぞれの物語は、男であれ、女であれ、「みんなこの世界で自分は一人ぼっち」「わたしたちが<セカイ>だと思っていたものは、みんな他の誰かのものだった」。ここには人間の深い孤独とつながりを求める姿が描かれており、理想と現実のギャップのなかで過剰ともいうべき自意識が時折現れ出てきて、まるで私小説を読んでいるかのようだ。2003年のメイク・ラブや、おっぱい飲みする男と暗闇の中に横たわる女などユーモラスな性描写もあり、これが結構笑いのツボにはまる。映画監督で
2016/04/09
優希
断片的な物語が集まって紡がれたこの本には優しさと挑発が入り交じっているように感じました。どの短編からも匂い立つ強烈な個性と孤独。周りが幸せそうに見えるときに感じるのが孤独と思いがちですが、誰かと一緒にいても孤独になるものだと気づかせてくれました。鋭い文章が逃れようもない孤独を突きつけてきますが、それはそのままの自分の存在を写し出しているように思います。物語の発する声に耳を傾け続けることで見える美しさや輝きは不器用な魂が放った生きるための光なのかもしれません。
2015/11/30
コットン
16の短編集。『水泳チーム』が情景を思い浮かべると面白い。その他、どちらもセクシャルな話で本筋にならない所だが『妹』:なかなか紹介されない妹や『十の本当のこと』:「彼女のなかには、わたしの場所がある気がした。」など主人公の内面をサラッと見せるのがこの作家の魅力なのかもしれない。
2023/02/06
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