週末 (Shinchosha CREST BOOKS)
週末 (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー
遥かなる想い
赤軍派テロを首謀した男のその後を描きた作品である。 テロリストだった男が出所して 初めて過ごす週末…彼は何を思い、どう過ごすのか? ドイツの過去を描いた三作目…ドイツ赤軍派に題材を置いた本書は ドイツ国民の赤軍派に対する思いが垣間見られて 興味深い。 歳月が人を変えていく中、再会は何をもたらすのだろうか。 静かな 償いの物語だった。
2020/10/17
キムチ
「過去とどう関わるか!」色々あった様でも、主人公イェルクと比すれば私の人生なんて実に平板なもの・・と感に入った。小説の主人公はかつての「舞台」の主役であった。時は流れ、全ては過去のもの、だが彼にとって葬り去ることのできぬ静かな暗鬱なものであったのでは?テロリストの彼を売ったのは❓何故姉は消えたのか?服役していた23年の時は消えたのではなく、ただただ凍結していたにすぎず、出所した時に感じる現実との乖離、虚脱感etC読みつつ、何ともいい難いその感情をどう受け止めていいのか。。生きるしかないか・・生きていくしか
2015/07/16
mt
23年間投獄され、恩赦により出所した元テロリストと一般人として働く仲間たちとの週末の3日間。普通とは極めて異なる再会には、楽しい昔話の花は咲かない。消せない罪を背負って生きていくための厳しい現実である第1章がこの週末に凝縮される。いさかいはさざ波から始まり、途中同席したテロリストの息子が容赦なく父親を罵倒する。時代に取り残された過激派は、その罪を許すことのない被害者の遺族の目に晒されながら生きていくことを覚悟するとともに、自身の心うちの葛藤も続けて行かねばならない。さすがに最後は親子間だけには光が見えた。
2015/11/22
Nobuko Hashimoto
『朗読者』をはじめナチ・ドイツの過去を見つめる小説家(法律家としても)というイメージのシュリンクだが、本作は、70年代の過激な政治活動(ドイツ赤軍派)の象徴的人物を中心に据えて、「68年世代」の罪と罰と更生に焦点を当てている。理想の達成のために殺人も正当化する暴力的「革命」に走った元テロリストが、24年ぶりに出所する。彼を母代わりとして育てた姉は、田舎の別邸に青年時代の友人らを集め、彼の社会復帰の足がかりを作ろうとする。世代的に主要人物らに共感できないが、次世代に少し希望を感じるかな。舞台劇によさそう。
2021/08/14
sosking
話の内容としてはかなり重い。テロにおける殺人の正当化とその被害家族の思いと加害者の家族の思いを考えさせられる。個人的には、西欧の文化の根底に自己主張が根付いている印象を受ける。日本人ならそこまではっきり言わないことまで言うことが、印象度が大でした。それと色恋物語は必要か?
2020/05/05
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