イースタリーのエレジー (Shinchosha CREST BOOKS)
イースタリーのエレジー (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー
藤月はな(灯れ松明の火)
内戦状態、植民地時代から開放を得たジンバブエ(旧ローデシア)に待ち受けていたのは第一次世界大戦後のドイツのようなスーパー・インフレと独裁政治、急激な格差社会、エイズによる死亡率の増加だった。しかし、例え、階級が違えども人々は戸惑いと埋まらない虚しさを抱えつつも笑い飛ばしたり、愚痴を言ったり、密かに泣いたりしながら生きていかなければならない。「黄金三角帯の真ん中で」は過去に輝いていた栄光すらも今では役に立たないもので虚しさを埋めてはくれないということを示す。
2015/10/02
タカラ~ム
ジンバブエの作家によるデビュー短編集。ジンバブエというと、独裁政権やハイパーインフレがあって、国民生活も厳しいイメージがある。本書に収録されている短編にも、そういう側面から描かれた部分がそこここに見受けられるが、あまり悲壮感のようなものなくて、主に描かれているのはジンバブエの市民たちの日常だったり人間関係だったりする。ときにユーモラスに描かれるその風景は、国も環境も全然違っているのに、どこか自分たちにも重なっているように感じた。
2018/08/18
星落秋風五丈原
日本がデフレで大変だと言っていたレベルを遥かに超えるインフレの中を、ある種の諦念を持って生きるしかない人々をユーモラスに描く。一文一文にぴりっと知性が感じられる。
2013/08/05
けいと
ー生きるということは人間性を犠牲にした冗談だージンバブエで暮らす人たちも私たちと変らず泣いたり笑ったり毒づいたりしながらいきてるんだな~
2013/08/24
かもめ通信
物語の舞台はジンバブエ。 収録されているのは13篇の物語。 いずれの物語にも人びとの暮らしぶりが淡々と描かれている。 あえて静かなトーンで語ることで、愛や苦悩、憤りや妥協、希望やあきらめどを浮き彫りにする手法は、どこか遠い地で暮らしているであろう人びとの物語を読んでいるつもりだった私を、目の前でおこっているぐっと身近な話を見聞きしているかのように、物語の中に引き込んでいく。 ジンバブエという国とそこに暮らす人びとを、読み手にこれほど身近に感じさせるこの作家の次なる一手が、早くも楽しみになってきた。
2013/08/05
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