あなたを選んでくれるもの (Shinchosha CREST BOOKS)
あなたを選んでくれるもの (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー
ヴェネツィア
小説家であり、劇作家でもあるミランダ・ジュライがロスとその周縁に暮らす何人かの人(下は高校生から81歳の高齢者まで)に試みたインタビューを収録したもの。インタビューの相手は「ペニーセイバー」の投稿者から選ばれている。年代的には当然、多くの人はインターネットでの売買を利用するのだが、そこから漏れ落ちた人たちということになる。彼らは必ずしも一人暮らしではないのだが、なんだかそれぞれに本質的な孤独を抱えているように見える。これが、今のアメリカの(ウエストコーストの)リアルなのだろうか。そして、このリアリティは⇒
2022/10/08
おしゃべりメガネ
なんとも言えない読書時間を過ごさせてもらいました。映画の脚本家である著者がフリーペーパーに売買広告を出す人々に電話をかけ、家を訪ねて、ひたすら話を聞くという一冊です。とにかく様々な人々が登場し、それぞれに大なり小なりドラマがあって、感動するのもあれば失意に似た感情を持つものもあります。ノンフィクションがベースだからなのか、淡々とクールに進む雰囲気がかなり独特です。フォト・ドキュメンタリーでもある本作なので、たびたび見ることができる写真にも何か語りかけられているようなキモチになり、本当に不思議な時間でした。
2019/02/26
青乃108号
アメリカの市井の、ネットとは全く縁がない人々に ミランダが接触を試みたインタビューと写真の数々。登場する人々は皆それぞれに個性的で、それぞれの価値観で生きたいように生き人生を謳歌している。人は時間の内側でしか生きられぬもの、俺は父の死もあって自分自身の人生の残り時間の圧倒的少なさに呆然とし、このところうちひしがれていたのだ。この本の人物達は間違いなく俺より豊かではないのに、この人達を優越感を持ってみる事は出来ず、俺はむしろ羨望のまなざしで各エピソードを読んだ。もう俺は泣かないよ。
2022/02/21
ケイ
読み進むほどに居心地が悪くなる。ジュライの「最初の悪い男」の読書会などで少なからぬ人がおすすめしていたこの作品。私はひねくれているのか、このあからさまなエキセントリックさを好きだという人達が変わっているのか?と自問しながら頁をめくる...、あぁ、やはり最後まで読まなくちゃね。 突然、泣かせられました。善行をなそうというかたまりみたいな無力な人に癒されるとき、その癒しは無限だな。生きづらさを感じたら読んで欲しいなと思う本。万人の救いにはならないかもしれないけど。
2019/02/07
KAZOO
ミランダ・ジュライという人の作品は初めてです。フォト・ドキュメントなのですね。短編集とばかり思っていました。フリー・ペーパーに小物販売の品物を掲載している人を訪ねてインタビューしたものを集めたものです。カラー写真があり、その品物とその値段が最初に掲載されてその人物との話が続きます。オタマジャクシまであるのにはびっくりしました。結構いい値段ですね。アメリカの様々な人々の生活などが垣間見えて私には非常に興味あるものでした。
2016/07/01
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