階段を下りる女 (Shinchosha CREST BOOKS)
階段を下りる女 (Shinchosha CREST BOOKS) / 感想・レビュー
ケイ
シュリンク2作目。この作家と私のもつ波長がズレているのかもしれない。イレーヌに魅力を感じられず、彼女の行動も身勝手としか思えず。後半ではずっと村上春樹の作品が浮かんだ。去る女は戻ってきて、男はそれを許容し、そして語る。私はハルキストではないが、村上作品では女に魅力がなくとも身勝手でも、それを受けとめる男に反発を覚えはしないのだが。『朗読者』を読んだ時に感じた欺瞞がここにもあるように思えるからかな。この作家はもう手に取らないと思う。裏表紙にラストが仄めかされているのもどうなんだろう(これは出版社に対して)
2018/01/18
KAZOO
この作者のものにしては少し青っぽいといったほうがいいのかもしれません。出口さんがすごくほめられているせいか(ほめすぎではないかと思いますが)結構この作者のものにしては読まれている気がしました。ひとつの絵が主題となってこの語り手の回想や現在での話しにつながるのですが、もう少し厳しい面があってもという気がしました。
2018/06/27
優希
40年という空白の時間と対峙していく記憶が美しかったです。孤絶していた女性との再会は、消せない過去を見つめることになるのが刺さりました。自分は正しかったのかという問い、死期迫る女性に寄り添う時間。2人の物語が紡ぎ始められたとき、階段を降りるというモチーフが流れていくのを感じました。絵画的で静かな愛の物語だと思います。
2018/01/21
どんぐり
ベストセラー『朗読者』で知られるベルンハルト・シュリンクの最新作。ドイツから仕事で訪れたオーストラリアのアートギャラリーで、世界的に有名な画家の描いた一枚の絵と再会する主人公の弁護士。その作品には、階段を下りようとする全裸の女性が描かれており、絵のモデルとなったイレーヌと共に40年前に行方不明になっていた。彼にとってイレーヌは、「若いころの小さな敗北」として過去の克服されない小さなトゲとなって常に人生につきまとい心を苦しめる存在だった。これは、その過去の苦い経験からイレーヌを探し出し、人生の終焉を迎える女
2017/11/07
のぶ
この本は二部構成になっているが、第一部では物語がどんな方向に向かうのか分からず、戸惑いながらの読書となった。語り部の男が、出張中のオーストラリアでのある絵画との出会い。いろんな人との関わり合い。作品で何を描こうとしているのかが分かり辛かった。第二部では病気で余命が長くない妻、イレーヌへの介護や看病の話が中心になってくる。その姿は死があるから生が輝くと思えるような描写だった。全体を通して見えたのは長年連れ添った夫婦の一つの生き方の物語だった。
2017/09/30
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