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漱石とその時代 2 (新潮選書)

漱石とその時代 2 (新潮選書)

漱石とその時代 2 (新潮選書)

作家
江藤淳
出版社
新潮社
発売日
1970-09-02
ISBN
9784106001277
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漱石とその時代 2 (新潮選書) / 感想・レビュー

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ダイキ

ロンドン留学から『猫』執筆直前まで。

2014/12/14

Gen Kato

「他の兄弟たちが、金之助を粗い肉親関係の網の目にすくい上げ、彼のやさしさを具体的な「義理」でおきかえようとした瞬間に、彼は限りなく焦立ちはじめる。それは逆に彼の宿命的な孤立を意識させ、措定された関係に虚偽と悪意を嗅ぎつけさせるからである。このとき彼の内部から、阿蘇の溶岩のような兇暴な怒りが噴出する」……ここ、個人的にすごく共感しました。この労作を書くとき、江藤淳は漱石に一体化していたんでしょうね。

2015/04/06

讃壽鐵朗

 江藤淳は文芸評論家ではあるが、一方明治時代の政治、人物等に関する著作も多い。この二つの要素が上手くかみ合って、正に題名「漱石とその時代」が物語るように、漱石の生き様及び作品の評論とその時代の動きが並列的に述べられている。つまり、読者は漱石の人物、作品を理解すると共に、明治という時代の流れをもくみ取ることが出来るわけである。ただし、一般の読者には文芸評論的な部分はかなり難解である。

Shoichi Nemoto

神経衰弱の夏目金之助。

2023/09/01

marsh

「国家は危機にあり、時代は転換しはじめている。しかし彼と国家とのあいだにはなお無限の距離があって、英文学研究の努力はそれを少しもちぢめない。果たしてこれが自分の送るべき生だろうか?そう思ってみると、国家のみならず妻もまたガラスを一枚へだてた別世界にすりぬけて行くように見える」漱石のこの焦燥感は英国留学での孤立で更に一層強まった。帰国後の第一高等学校の講師、東京帝国大学文化大学講師として英文学を講ずる漱石の姿(精神的危機感にある)を日露戦争を背景に、正岡子規の死去などを交え活写した力作でした。

2020/08/03

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