漱石とその時代 4 (新潮選書)
漱石とその時代 4 (新潮選書) / 感想・レビュー
Gen Kato
家庭的に不遇だった才あり学ある青年が満たされるには、公に名を成すことしかない。それとて彼を芯から幸福にはしない。その状況は現在も変わらぬにしろ、明治という時代の中ではさらに生きにくかったのではなかろうか。江藤淳の漱石を見る目も、青年に向けてのそれのように感じる。
2015/04/08
讃壽鐵朗
江藤淳は文芸評論家ではあるが、一方明治時代の政治、人物等に関する著作も多い。この二つの要素が上手くかみ合って、正に題名「漱石とその時代」が物語るように、漱石の生き様及び作品の評論とその時代の動きが並列的に述べられている。つまり、読者は漱石の人物、作品を理解すると共に、明治という時代の流れをもくみ取ることが出来るわけである。ただし、一般の読者には文芸評論的な部分はかなり難解である。
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