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虚航船団

虚航船団

虚航船団

作家
筒井康隆
出版社
新潮社
発売日
1984-05-01
ISBN
9784106006395
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虚航船団 / 感想・レビュー

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GaGa

三日ぐらいかけてなめるようにして読み返してみた。結局具体的な感想も意見もこの小説からは生まれない。ただ、そのようなことよりも、本作が生まれるきっかけがまず理解できない。どういう思考回路からこういう作品が生まれてくるのか。そこを理解させないのが筒井文学であり、それを穿り返してもなにも生まれないのが現実である。つまりこの作品は生まれるべくして生まれ、そして掘り下げられることなく終わるものなのだ。割とそれが自分にとっての最終結論。

2013/07/28

ヒダン

いつまでも最初の5ページと同じような読み口が続き、どこを目指すとも知れず日々狂っていく宇宙船の乗組員が感じたであろう無限と倦怠感をなんとなく共感できたような気持ちになる。そういう意味では精神が錯乱する前に何とか読み終えることができたのは僥倖であった。読んでいるときは挟まれている小ネタを楽しんでいるのだが、読み終えるとマラソンを走りきったような誇らしさを感じずにはいられない。悪夢を見そうで寝るのが少し怖い。

2017/06/06

林 一歩

初読は多分高校生の頃で、その後何度か斜め読みで読み飛ばしていましたが、久しぶりに本腰入れて読み返す。一章、二章までは南米文学のパロディーとして楽しみながらサクサクと読み進められましたが、三章で読む速度落ちる(笑) 悪ふざけにも程があるな〜と。筒井康隆らしい作品ではあるけれど、好き嫌いという二元論で言えば、嫌いな範疇に入る作品。キチガイのふりをした常人が書いた気狂い小説。

2014/12/27

KASAO

殺戮を目的に宇宙から襲来した文房具船と人類の歴史を模した鼬の星との戦争の物語。自分でも何言ってるんだと思うけど、そういう物語。長い長い宇宙の旅で基本的に狂っている文房具たちと千年に渡る歴史の中で殺し合いばかりしている鼬たち、ナンセンスだろうけど、自らの持つ個性を突き詰めた物たちとして文房具を見て、人類のパロディとして鼬を見てみると他人事のような気がしない。そういう自分はこの物語にあてられて狂ってしまったのだろうか。後半は作者も作中に入り込んで狂っていたので、それもあるかも。

2016/02/10

猫丸

再再読。「馬の首風雲録」や「東海道戦争」など、おそらくは映画的な効果を狙って戦争を背景とするスペクタクルを好んで書いてきた。その延長にあるにはあるが「虚人たち」を経由すると、ここまで壊して平然としていられるのだ。実験的なギャグ小説。偏執狂ギリギリの粘着性をもってして初めて可能な濃密な語りである。だいたいわかったので、もう再読はしないと思う。そうそう、意外に世界史選択の高校生の復習になるかも。

2021/08/19

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