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ぼくたちの好きな戦争

ぼくたちの好きな戦争

ぼくたちの好きな戦争

作家
小林信彦
出版社
新潮社
発売日
1986-05-01
ISBN
9784106006463
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ぼくたちの好きな戦争 / 感想・レビュー

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kokada_jnet

喜劇的想像力で戦争を描いた自伝的な名作。『楡家の人々』『キャッチ=22』やヴォネガットの作品等の反響を感じる。また戦前の日本に大量にあふれていた、アメリカ文化の影響の大きさについても描く。作中に、アメリカ人が書いていた「第二次世界大戦に日本が勝った」小説が、入れ子構造で挿入されているのは、フィリップ・K・ディックの『高い城の男』の影響。小林信彦の小説には、ディックの影響をうけた作品がかなりある。また、この本の執筆前に、「日米架空戦記」について、古典SF研究家の横田順彌に問合わせしていた。

1986/12/11

ヨーイチ

週刊文春のコラムから引退。評論家、エッセイストって顔の方が大きいけど小説も多いし質も高い気がする。辛気臭そうなので敬遠していたが、大傑作であった。「あの戦争」を小説の手法、想像力を駆使して描き出していると思う。本当の下町・老舗の出自でなければ書けない感覚は貴重。しかしそれとても解説が必要な位昔になってしまった。アメリカ文化に対する憧憬もよく分かる。疎開児童が映画を観たくて脱走して来る挿話も忘れ難い。田舎者には書けない情景。この人の著作で「東京」感覚、笑いのセンスを学んだ気がする。続く

2021/12/31

sabosashi

戦争なるものはいかにも巨大なメカニズムから成り立っていて、その全貌に迫るのはいちじるしく困難である。  言い方を換えてみれば、いろいろな描き方ができるわけで、これまたさまざまな利害があることでおおいに納得できる。  ニホンと米国との対峙も、いわゆる大衆文化を介在させてみれば、その展望がいちじるしく異なって映る。  いかなるときにおいても、衝突なるものは戯画化可能だからである。  しかしながら、それでも戦争のプロセスはすべてを無慈悲に呑みこんでいこうとする。  そこには喜劇と悲劇、どちらも存在する。

2019/03/25

けいちゃっぷ

20年かけて、やっと読了。昔はいつも第一章の途中で挫折したものだが、今回はスンナリ読めた。年をとったので読みやすくなったか?全体を通して作者一流のシニカルな笑いの地雷があちこちに仕掛けられているのだろうけど、なかなかそれに反応できない歯がゆさがあった。371ページ

2009/09/16

たけし

戦争を喜劇として書く。絶対に悲劇だと理解されていることを。兵たちが酔っ払い、狂乱しながら、ふざけた辞世の句を詠むところから話は始まる。笑ってしまうのだけど瞬間、笑っても良いのかと笑いが凍る。この読書体験を書くのは難しい。分かるのは、戦争にも笑いがあるということと、絶対に笑いにできないことがあるということ。悲劇と笑いの間にある断崖の深さは、僕の戦争のイメージをはっきりと変えた。

2014/10/19

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