仮面の道 (叢書創造の小径)
仮面の道 (叢書創造の小径) / 感想・レビュー
roughfractus02
アメリカ自然史博物館の一隅の回想から始める著者は、本書のページに多数の仮面の写真を読者に提示しつつ「ひとつの仮面はそれ自体としては存在していない」と付け加える。仮面自身に意味を読む(連辞)のではなく、そこにない他の仮面との差異と捉え(範列)、そこに現われない様々な現実を見るように読者を促す本書は、1つの作品に潜在的な諸作品を、1人の芸術家に複数の潜在的芸術家たちを見る変換の技法を展開する。仮面がその所有者によって悪魔にも神にもなると著者がいう時、被る者たちと仮面たちが延々と連なり合う諸現実が見えるようだ。
2018/08/15
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